【神戸新聞杯】無敗3冠へ100点満点コントレイル 偉業の先に目指す場所は…

2020年09月28日 11時20分

福永=コントレイル(右)は〝安全運転〟で楽々と後続に2馬身差をつけた

 27日に中京競馬場で行われた菊花賞トライアル・GⅡ神戸新聞杯(芝2200メートル=3着まで優先出走権)は、皐月賞、日本ダービーの2冠を無敗で制したコントレイル(牡・矢作)が快勝。05年の父ディープインパクト以来となる単勝オッズ1.1倍の圧倒的な支持に応え、史上3頭目となる無敗の3冠制覇に向けて前途洋々の船出を切った。鞍上の福永が「難しいレース」と語った一戦を振り返り、記録達成の確率を算出してみる。

 乱暴に言ってしまえば、今回の一戦は3冠制覇への単なる前哨戦。しかし、無敗であることのプレッシャーは少なからずあったようで、手綱を取った福永も、見守った矢作調教師も「無事に勝てて良かった」がレースを終えて出た最初の言葉だった。

 もちろん、それは内枠(②番)スタートの実力馬が最も危惧しなくてはならない、前が壁→進路を失う可能性もあったレース展開を振り返ってのものだろう。

「思っていた通り。内枠が当たったことで難しいレースになりましたね。もっと早くに進路を確保したかったんですが、今回はストレスなく走らせることを課題にしていたので、決して慌てることがないように気をつけながら乗っていました。進路さえできてしまえば、瞬時に反応してくれる馬ですから」

 福永は見た目ほど簡単なレースではなかったことを強調したが、それが逆にコントレイルの〝強さ〟を表現しているとは言えないか。

 無敗の3冠馬である父ディープインパクトとコントレイルの違いは明白だ。

 ディープはスタート直後は最後方を追走し、勝負どころで一気に進出という破壊的なレースぶりで強さを誇った。一方のコントレイルには父ほどの派手なインパクトはない。しかし、ポジションにこだわらず、今回のように馬群の中から競馬ができたり、ダービーのように馬を前に置かない形でもレースを進められる。その引き出しの多さはディープにはなかったものだ。

 同じ無敗の3冠馬で比較するのなら、ディープインパクトではなく、隙のないレース運びで精密機械のような強さを見せたシンボリルドルフタイプ(84年の3冠馬)。それがコントレイルだ。無敗の3冠制覇に向けて課題は大きく〝目減り〟している。

「パドックから返し馬までを見てもらえばわかると思うけど、非常に落ち着いていて精神的にどっしりしている。道中でヒヤヒヤする面は確かにあったが、折り合いもしっかりとついていたし、終わってみれば百点満点の前哨戦だった」

 こうレースを振り返った矢作調教師が、3冠に向けて最後の課題としたのは周囲が挙げる3000メートルの距離ではなく、これまでに経験したことのない(短期)放牧を挟まない「在厩調整」。だが、これも精神面の進化が著しい現在のコントレイルなら克服してしまうだろう。

 ディープインパクトに次ぐ史上3頭目の無敗3冠はかなり濃厚――。むしろ、その先にこそ目標がある…。そんな気持ちにさせる圧倒的な一戦だった。ゆえに海外遠征が難しい現在の情勢は残念でならない。