【京成杯AH】レジェンド厩務員2人の残暑を吹き飛ばす激アツコメント

2020年09月09日 16時45分

貝澤厩務員がデキの良さに胸を張るミッキーブリランテ

【京成杯AH(日曜=13日、中山芝外1600メートル)栗東トレセン発秘話】夏競馬が終わり、今週から調教時間が早朝5時から5時半に変更されても、起床時間は午前3時台で眠る時間は午後9時台。昼間は相変わらず眠い。とにかく眠い。「夏時間の間は夜10時以降のテレビをまず見ることができない。世間とのギャップを感じてしまいます」なんて嘆く関係者も少なくないが、それもすべては暑さに弱い馬のため。ただひたすらに馬のためだ。

 あまりにも真っ暗で馬の姿をなんとか確認できる程度。こんな状況で「調教採点もクソもないわな」と思いながら、それでもストップウオッチを押す行為を続ける。朝5時と9時の間に“温度差”がある以上、これも仕方ないことだ。早起きこそが最も重要な仕事なのである。

 先週末も暗いうちから始動。矢作厩舎の貝澤厩務員が、まだ暗い時間帯に坂路スタンドに姿を現す。「夏バテはしてません?」の質問は担当馬であり、GⅢ京成杯AH(13日=中山芝外1600メートル)に出走するミッキーブリランテに向けたもの。それに対する返答は「全然、大丈夫みたいですよ」。まあ、夏の取材の取っ掛かりは、だいたいがこんな感じだ。ミッキーブリランテが、まだまだ暗い坂路を駆け上がったのは、その数分後のことだった。

「前走(関屋記念=4着)で乗ってくれた岩田(康)さんが“ディープブリランテにすごく似てる”って言ってくれたんですよねえ。“できることなら今後も乗りたい”って。今回は(厩舎所属の坂井に)乗り替わるんですけど、そう言ってもらえるのはうれしいことです」(貝澤厩務員)

 ダービージョッキーにしてくれたディープブリランテが岩田康にとって特別な存在であることは言うまでもないが、それは担当していた貝澤厩務員も同じことで「自分の担当していた馬の子をやれるだけでもうれしいのに、その子が走ってくれてますからね」。

 現在、ディープブリランテ産駒の出世頭は今年の日経新春杯を制したモズベッロで、交流重賞2勝のラプタスがこれを追う形。今週の一戦をゲットできるようなら、ミッキーブリランテも代表産駒の争いに参戦決定か? そんな背景も頭に入れつつ、中山開幕週の重賞を楽しみたいと思う。

 しかしながら、さすが多くの名馬を出してきた栗東トレセン。ちょっと足を延ばせば、業界の有名人がそこで待っている。ダービー厩務員と別れ、向かった先は安田隆厩舎。「おお、松浪大樹やないか。暑いのう」。なぜか、いつでもフルネームで記者の名を口にする吉田厩務員もまたバンブーアトラスを手掛けたダービー厩務員だ。もっとも、我々の世代ではビリーヴの担当者としてのイメージのほうが強いが…。安田隆厩舎には昨秋に移籍し、現在はトロワゼトワルの担当者に。週末は前述の貝澤厩務員とライバル関係にあったりする。

「すごい時計(1分30秒3)で勝った1年前は俺の担当じゃなかったけど、今年もええと思うわ。冬場に初めて触ったときも悪くないと思ったけど、今とは全然違うからな。コイツは典型的な“夏女”。暑い時期がええ」と吉田厩務員。この残暑にバテるどころか、さらに強い負荷をかけているというのだから、連覇の可能性は大いにありそうだ。

「開幕週の速い馬場はええし、絞りにくい馬やから輸送のある競馬もいい。今回の不安材料? 担当者が俺に替わっていることくらいやな」と冗談を言いながら、夏バテ防止の酵素のどあめをサラッと提供してくれる。すでに太陽が昇り始めた午前7時前。うれしい限りである。

 レジェンドは基本的に神対応――。その言葉をかみしめながら、エアコンがバッチリと効いたトレセン事務所へと足を向ける記者であった。