【キーンランドC】前走の〝仕込み〟が効いたエイティーンガールが秋GIへ名乗り

2020年08月31日 11時30分

坂井の好リードに導かれたエイティーンガールは大外一気で重賞初Vを決めた

 サマースプリントシリーズ第5戦(9・13セントウルSが最終第6戦)のGⅢキーンランドC(30日=札幌芝1200メートル)は、最後方から運んだエイティーンガール(牝4・飯田祐)が直線鮮やかに伸びて差し切り勝ち。GⅠスプリンターズSの優先出走権を手にした。今夏の北海道シリーズで2走連続7着と精彩を欠いてきた同馬が一変した要因とは? 波乱の雨中決戦を振り返る。

 前走のUHB賞は1番人気ながら7着に惨敗したエイティーンガール。一変した今回の〝原因〟は何だったのか?

 コンビを組んで4戦目だった坂井はこう語る。「前回で意図的にポジションを取る競馬をしました。それが今回につながったと思います」

 つまりは前走でかき立てた馬の闘志を、直線ではじけさせるように転化させたのが今回の競馬だったということ。位置取りは最後方でも人馬に余裕があった。それは勝負どころで他馬が動き始めたのを見てから、悠然と追い上げ態勢に入った姿に表れていた。

 これがうれしいJRA平地重賞初Vとなった飯田祐調教師もこの一戦に懸けていた。「函館から滞在とぜいたくな馬房の使い方をしましたね。中1週というのも今まで経験があり、いいと思っていました。さらに洋芝も合うと思って連れてきたので(結果が出て)良かったです」

 函館競馬場をトレセンとして使用する、いわゆる〝裏函〟がない今年の札幌。馬房の入れ替えに各厩舎が奔走した中、じっくり腰を据えたことに大きな意味があった。安堵の表情を浮かべる一方で「(ジョッキーには)稽古にも乗ってもらって良さや癖をつかんでもらっていましたし、今日は〝この馬の良さを生かす競馬をしてほしい〟とだけ伝えていました」。鞍上と築き上げた信頼が実を結んだことにも喜びを隠せなかった。

 思えば今年のシルクロードS(2着)で、ジョッキー引退間近だった名手の四位現調教師をして「こんなにいい馬に乗ると騎手をやめたくなくなる」とまで言わしめた馬。もともとポテンシャルは重賞級だった。この夏一番の目標に向けてマックスの状態に上げるべく、逆算して調整&ローテを組み立てた陣営の緻密な計算が最大の勝因だ。

 次走は当然、優先出走権を得たスプリンターズS(10月4日=中山芝外1200メートル)になろうが「まだ暑いですし、戻ってからの体調次第で。その間に一戦挟むことはないと思います」とトレーナー。いずれにしても自身のスタイルを確立した同馬にとっては、GⅠの舞台でも〝自分流〟を貫くのみだろう。