【GⅢ小倉記念】10番人気アールスター 重賞初Vの裏に〝サプライズコンビ〟の強固な絆

2020年08月17日 12時00分

長岡の渾身のムチに応えてインから鋭伸したアールスター

 夏の小倉のオープニング重賞となった16日のGⅢ小倉記念(芝2000メートル=サマー2000シリーズ第3戦)は、長岡騎乗の伏兵アールスター(牡5・杉山晴)が内ラチ沿いから抜け出して人馬ともに重賞初勝利。10番人気のノーマークホースが大駆けできた裏には調教師の“秘策”と、ジョッキーに対する強い信頼があった。

 1000メートル通過58秒1というよどみない流れに加え、3角過ぎにロードクエストが早めに動いたことで、差し馬台頭の流れが“完成”。ゴール前で様相が一変し、中団のインで我慢していたアールスターが、直線で内ラチ沿いにできた1頭分のスペースを突いて抜け出し、一気に勝負を決めた。 鞍上の長岡はデビュー9年目にしてうれしい重賞初勝利。「位置は良かったし、道中もいい手応え。あとは僕が進路を探すだけという感じでしたし、馬も反応してくれました。レースに乗るのは初めてでしたが、調教でずっと乗っていましたし、自信を持って臨みました」と“初白星”を振り返った。

 17年には落馬で腎臓破裂の大ケガを負って復帰後は騎乗数が減少。活路を求めて美浦から栗東に移籍するなど苦労続きだったが、それが報われた形だ。

 アールスターはここ2走、枠入り不良でゲート再審査を課されるなど気難しさを出し始めていた。そこで杉山晴調教師は対策を講じる。「馬の気持ちが前向きになるように、追い切りだけでなく並足の時から、長岡に馬と向き合ってコンタクトを取ってもらいました」。その結果「先週ぐらいから素直で人に従順な精神状態になってきていた」。それが、格上挑戦での重賞初制覇という最高の形で結実したのだ。

 トレーナーは「長岡と二人三脚でやってきたことがこういう形になって調教師冥利に尽きます。(この勝利は)長岡の調教のたまもの。今日は長岡の勝利と言ってもいいぐらいです」とジョッキーを最大限にたたえた。

 アールスターを鮮やかに変えた長岡&杉山晴調教師は、今年のフェブラリーSでも最低人気のケイティブレイブを2着に導いた“サプライズコンビ”だ。この時も、長岡が普段の調教から付きっ切りでまたがったことが実戦で好結果につながっている。

「美浦から移籍してきているようにハングリー精神があるし、今日のように内の際どい所でもガムシャラに入って行く。強い気持ちで乗ってくれるから、また乗ってほしいと思わせてくれます」と長岡への強い信頼を口にした同師。これに応えてジョッキーも「美浦から移籍してきた僕がこうしてチャンスをもらえている。恩返しできてうれしいです」と感謝の言葉を返す。

 強固な信頼関係で結ばれたこのサプライズコンビの“続き”にこれからも注目したい。