【エルムS・後記】タイムフライヤーがダート重賞初V〝王者の立ち回り〟で新境地開拓

2020年08月10日 18時09分

タイムフライヤーがダート重賞初勝利を挙げ、鞍上ルメールもサムズアップポーズ

〝夏のダート王決定戦〟たる第25回GⅢエルムS(9日=札幌、1700メートル)は、1番人気タイムフライヤー(牡5・松田)がマリーンSに続く連勝でダート重賞初制覇。2017年の芝GⅠホープフルS優勝以来、長らく勝利から遠ざかってきた同馬が、北の大地のダート戦でようやく輝きを取り戻した。2着以下を圧倒した走りを振り返るとともに、今後の可能性を探ってみたい。

 今回がダート重賞初Vとは思えないほどの横綱相撲でタイムフライヤーが他馬を圧倒した。

 約束通りリアンヴェリテがハナを切り平均ペースで流れる中、鞍上のルメールは中団外で脚をためる戦法を選択した。

「返し馬もすごくいい感じでした。いいポジションを取ってリラックスして走っていたので、これなら絶対にいい結果が出せると思っていました」

 その自信が目に見える形で現れたのが、ウェスタールンドが一気に外からマクり上げた4角手前だった。普通なら慌てて仕掛ける場面だが、ルメールの手綱は直線に向くまで動かない。「馬にはちょうどいいプレッシャーでした」の言葉通り、自らハミを取りギアを上げつつ直線へ。圧巻はゴーサインに反応した残り1。一気に前に出て2着ウェスタールンドに2馬身差。外枠から終始外を回る〝王者の立ち回り〟を思えば、その内容は完勝と言っていい。

「前走のマリーンSがすごくいい感じだったので、重賞を勝てると思っていました。今日は能力を見せてくれましたね」(ルメール)

 良馬場で勝ち時計1分43秒4は傑出した数字ではないかもしれない。それでも今年の札幌ダートは例年よりも時計を要する馬場傾向。ゆえに管理する松田調教師は賞金加算できたことにまずは安堵する。

「北海道で2つ勝ったのでこれからはどこにも出られる。外枠は難しいと思ったが、流れもちょうど良かったし、ルメールが上手に導いてくれましたね。ひとまず次走は武蔵野S(11月14日=東京)かな」

 その方向性には鞍上も同調し「リラックスしていたら千八もいけると思うけど、広い競馬場で1600メートルくらいがちょうどいいでしょう。マイルでもいいポジションを取るスピードがあるし、競馬も上手になっている」と〝もう一丁〟の構え。17年のGⅠホープフルS優勝で一度は芝の頂点に立った同馬が、紆余曲折を経て北の大地で新境地を開いたとあれば…。次走の走り次第で〝砂の頂点〟が一気に見えてきても不思議はない。