【レパードS・後記】ケンシンコウ「レコードV」の波乱呼んだ丸山の積極策

2020年08月10日 18時07分

超スピード勝負を制しレコードで勝利を収めたケンシンコウ(右)

 9日、新潟競馬場で行われた3歳限定のダート重賞、第12回GⅢレパードS(1800メートル)は、2コーナーからハナを奪った7番人気のケンシンコウ(牡・小西)がレコードタイムで押し切って波乱を演出した。不良馬場における究極のスピード決着になり、出走各馬の適性がモロに出たとも言える今夏の3歳ダート王決戦。伏兵が勝利できたその要因を分析したい。

 金曜夜から降り続いた雨の影響で極度に締まったこの日のダートコース。スピード勝負で前が止まらない可能性は予測できた。ただ、近走は脚をためる競馬で結果を残していたケンシンコウが、まさか前に行くとは、ほとんどの人が想定しなかっただろう。

 大方の予想通りタイガーインディがハナを主張し、流れは落ち着くかと思われたところに、抑え切れない手応えで並びかけた。どちらがハナを奪取するのか? ここでケンシンコウの丸山は〝もうひと押し〟して主導権を獲得した。この積極策が分岐点だった。2頭で競り合う形となり、後続勢は深追いせず少し離れた位置で追走。番手のタイガーインディは3角で早々と手応えが怪しくなったが…丸山は手綱を持ったまま。慌てて後続が動きだしたが、時すでに遅しだった。

「位置取りは気にせず馬のリズムを心掛けた。逃げたくはなかったけど、道中はリラックして走れていたから」と丸山が語った通り、ハナに立ったことで折り合いがつき、自分のペースで運べた。これが後続の目を〝欺き〟、抜け出してからも最後まで止まることがなかった最大の要因だ。丸山は「4角でも余力があったし、反応も良かった。最近は落ち着いて競馬できるようになってきた」と気性面の成長も感じ取ったようだ。

 実はこの積極プレー、管理する小西調教師にとっては想定外だったようで「中団以降から差す競馬かなと思っていたけど…。スタートしてみないとわからないね」。それでも「ハナに立ってからは逆に落ち着いていたし、ロスなく回ってこれた。軽い馬場も良かったね」と鞍上の機転の利いた騎乗をたたえた。

 超スピード勝負に対応し、脚質にも幅が出るなど充実一途の気配を見せるケンシンコウだが、丸山は「手前を替えなかったり、気持ちの面でも課題は残る。そのあたりがクリアできれば」とまだ成長途上であることを強調した。今後は古馬との戦いに身を投じていくことになるが、ハイレベルと言われる今年の3歳ダート戦線で、確実に力をつけたこの日のレースぶりを見れば、さらに進化→全世代を含めたダート界の天下取りも決して夢ではない。