【アイビスSD・後記】重賞初Vジョーカナチャン 迷いなき逃走でリベンジに成功

2020年07月27日 19時30分

激しい電撃戦となったが、菱田=ジョーカナチャン(左)は外ラチ沿いの絶好位をキープし続けた

 26日、新潟競馬場で行われたサマースプリントシリーズ第3戦(9・13セントウルSまで全6戦)のGⅢアイビスサマーダッシュ(芝直1000メートル)は、2番人気のジョーカナチャン(牝5・松下)が昨年の覇者ライオンボスの追撃を振り切り、重賞初制覇を飾った。春の韋駄天S(1着ライオンボス、2着ジョーカナチャン)での着順が入れ替わった格好だが、その要因は? レースの詳細をリポートする。

「スタートはいつもより半歩遅かったんですが、鞍上がそれでも行ってくれたし、二の脚も速かったですね」

 レース後にジョーカナチャンを管理する松下調教師が語ったこの言葉に、勝因の半分が込められていた。

 ゴールドクイーンやモンペルデュなどの新規参入組、またハナを主張した馬が多くいた中、果敢に先手を取りに行くのはリスクが高い戦略だったが、スタート直後にイベリスと接触しながらも一気に先頭を奪ったのはジョーカナチャン。類いまれなダッシュ力もさることながら、鞍上・菱田の迷いなき騎乗が宿敵との大逆転劇を生み出した。

「ライオンボスとは前走から斤量差が少なくなっていましたが、厩舎から『調教はうまくいった』との報告を受けていましたし、自信を持って乗りました。枠順を見た時はもう少し外めが欲しいと思いましたけど、馬がカバーしてくれましたね」

 菱田が誇らしげな表情で振り返る。最後の最後にライオンボスにアタマ差まで詰め寄られたことを踏まえれば、勝負事の鉄則でもある〝先手必勝〟が功を奏したのは間違いないところだ。

 もう半分の勝因はというと、これでアイビスSDは20回中13回で牝馬が優勝という事実。暑さへの耐久性が牡馬よりはるかに優れることだ。この日も30度近くまで気温が上昇し、大型の牡馬には厳しい状況だった。対照的に今回のパドックでもカナチャンのハツラツぶりはひと際目を引いた。

 いずれにせよ、半年以上の長い休養がこれまで3度もある同馬の快進撃はこれから。「今週火曜(21日)の計量では476キロ。本来はもう少し増えた状態で出走させたかった。そういった意味では今後の上積みが見込めますし、次はGⅢ北九州記念(8月23日=小倉芝1200メートル)を目標に進めていきたい」と松下調教師。

 3走前の京都・淀短距離Sで0秒1差2着があり千二替わりは不問。今年のサマースプリントシリーズ制覇をグッと引き寄せる、きらめく走りがまた見られることだろう。