【上半期GIを振り返る・3歳牡馬編】無敗2冠のコントレイル “疑”が“確”に変わった瞬間

2020年07月22日 14時00分

日本ダービーはコントレイルの独壇場だった

【上半期GIを振り返る・3歳牡馬編新型コロナウイルスの影響で多くのスポーツやイベントが延期、中止を余儀なくされる中、JRAは競馬を続けてきた。戦後初の「無観客競馬」という非常事態ながらも、開催を押し進めたJRAや競馬関係者の尽力には頭が下がるばかりだ。そんな異常な年に、3歳では牡牝ともに無敗のクラシック2冠馬誕生という歴史的な快挙も…。コロナ禍の上半期GⅠを東西主場本紙の舘林勲、松浪大樹が振り返った。

 松浪大樹(大阪スポーツ):今春はコロナの影響でフェブラリーS後のすべてのGⅠが無観客(2月29日以降)での施行。キャリア豊富な先輩でも初めての経験だったのでは?

 舘林勲(東京スポーツ):おかげで39年間も続けてきた皐月賞、オークス、ダービーの生観戦が途切れてしまったよ。報道関係者にも厳しい取材制限があったし、それはファンも同様の状況だけに仕方のない部分ではあるんだけど、残念な数か月だったことは確かだな。

 松浪:コントレイルにデアリングタクト。無敗の2冠馬が同時に誕生する記念すべき瞬間をファンが目撃できなかった状況は「残念で済まされないレベル」と僕は思いますけどね。まあ、コロナ禍については次回以降に回しましょう。話すべきことが多過ぎます。

 舘林:そうだな。まずは3歳牡馬路線を振り返ろうか。俺たちの予想とその反省込みで。

 松浪:皐月賞は2人とも◎サトノフラッグで討ち死に、という結果。これ、ある意味では懺悔(ざんげ)企画じゃないですか?

 舘林:まあ、俺の敗因は明確だけどな。コントレイル、サリオスの無敗王者対決に疑いの気持ちを持ってしまった。競馬を見始めて40年。1~3月のレースがまるで無意味なものになるとは考えられなかったんだよ。

 松浪:外厩の進化が著しい現在、無駄打ちをしないローテの選択は陣営が能力を評価している証拠。昨年のサートゥルナーリアもそうだったじゃないですか。

 舘林:そこまで理解しているくせに◎はサトノフラッグ。俺と一緒だったのはなぜだ?

 松浪:弥生賞のレースぶりだけなら▲だったんですけどねえ。中間の良化度合い。あれ、ちょっとすご過ぎると感じませんでした?

 舘林:確かに。稽古の動きがあれだけ進化しちゃうと、調教を見る立場の人間としては心を動かされてしまうよな。

 松浪:まあ、錯覚だったんですけど(苦笑)。

 舘林:俺は素直にコントレイルは強いと思っていた。だが、その一方でライブ観戦した東スポ杯のレースぶりが引っ掛かったんだよな。

 松浪:あんなに強かったのに? 池江調教師は「来年はあの馬が全部持っていくよ」とまで言ってましたよ。

 舘林:5馬身差。あれだけ突き放しているのに鞍上のムーアがびっしりと追わなければならなかった理由は? それを考え過ぎたのかもしれない。実際にホープフルSでは直線でモタれるしぐさも見せたし、操縦性の難しいタイプと判断したんだよ。

 松浪:僕が評価を下げた一番の理由は馬場ですね。デビュー時は「距離がもたない」と思われていましたし、本質的に時計勝負を好む馬であることは矢作調教師も認めていましたから。サトノフラッグはもちろん、パワータイプのサリオスにまで後れを取るかもしれないと…。でも、▲はやり過ぎでした。反省しています。

 舘林:皐月賞は映像越しの観戦だったんだが、他馬との能力差が明白のレース内容。本当はダービーでも東スポらしい攻めの予想をしたかったんだけど、あの一戦で他の馬に◎を打つ選択肢がなくなってしまった。

 松浪:それは多くの記者が思ったことじゃないですか? おかげでダービーの予想はとても簡単でした。

 舘林:あそこまで楽に勝つとは思わなかったけどな。勝ち時計は平凡なので相手に恵まれた可能性もゼロではないし、距離が延びていいタイプとも思わないが、折り合い重視の菊花賞なら3冠濃厚。同世代では力が違うよ。

 松浪:ちなみに2冠ともに2着のサリオスについては見解が違うみたいですね。先輩はダービーでも低い評価でしたが。

 舘林:2000メートル以上の距離で結果を出せると思わなかったし、実際に結果を出した現在でも2000メートルまでの馬と思っている。馬券的にはダメだったけど、信念を貫いての結果。悔いはないよ。

 松浪:僕も似たような印象を持っているけど、同じ感覚だった昨年のダノンキングリーで痛い目にあった経験が生きまして(苦笑)。東京コースはスピードが必要。中距離ベストくらいの馬のほうが合うと現在は考えているくらいです。

 舘林:青葉賞からのダービー制覇なんて夢のまた夢ということか。頭を切り替えないといけないな。