【中京記念】オルフェの血と劇的な体質強化 ギルデッドミラーの走りに注目

2020年07月15日 18時00分

松永幹厩舎の新たな看板馬を目指すギルデッドミラー

【中京記念(日曜=19日、阪神芝外1600メートル)栗東トレセン発秘話】来年のクラシックに向けて動き出している競馬界。期待の俊英が続々とデビューする中、先週の土曜阪神芝外1600メートル(牝)ではセレクトセールで1億6500万円で落札されたダノンシュネラが快勝。同じく池江厩舎からは今週も期待馬サドルロードがデビュー予定で、注目の好素材が続々とターフに姿を見せ始める。

 そのサドルロードの父オルフェーヴルといえば、池江厩舎を代表する名馬中の名馬である一方で、その“暴れん坊”ぶりも皆さまもご承知の通り。競馬のプロとは言えない私にとっては、その輝かしいキャリアよりも、2着に終わった阪神大賞典で見せた“暴走のち大激走”のほうが今なお強烈なインパクトとして記憶に残っている。

 池江厩舎の兼武助手に当時の話を伺うと、「確かに我の強い、気の荒い馬でしたけど、それは走る馬なら共通して持っているもの。ただ、オルフェの場合はいろいろな意味で人間の予想をはるかに超えるものでしたけどね」。まさに“天才と狂気は紙一重”。スポーツ界で功を成す者なら、その要素は少なからず持っているのだろう。

 その激しい気性は子供たちにも受け継がれているのかといえば、必ずしもそうではない。GⅢ中京記念にエントリーしているオルフェーヴル産駒ギルデッドミラーを担当する松永幹厩舎の細見助手は「普段はおとなしくて手がかからない。馬房でもカリカリせずにどっしりと構えています。父みたいなやんちゃさはなくて余計な心配はしなくて済んでますね」と意外に優等生な素顔を明かしてくれた。

 もっとも、話が進んでいくにつれ“やっぱり”という部分も出てくるもので「もともと折り合い面に課題はあったんですが、年明け初戦のこぶし賞前は調教でも、すごくかかってしまって…」。さすがはオルフェの子、“走る馬”特有の気性はしっかりと受け継がれていたとするべきなのか。課題を克服すべく、名手・福永に調教と実戦をセットで依頼することに。

「福永さんにアドバイスをもらって馬具を工夫したし、競馬でもしっかりと教え込んでくれたので、だいぶ抑えが利くようになりましたね」(細見助手)

 本来の能力に加えて、折り合い面での心配が軽減されたことが、その後の好走につながっていくのだが、もうひとつ大きなポイントに挙げたのが劇的な体質の強化だ。

「(こぶし賞=2着から)月に1回のペースで競馬に行ってNHKマイルCが4戦目。アーリントンC・2着の後、どっと疲れが出た感じだったんだけど…。1週間もしたらグンと回復して、馬体の張り、精神的な落ち着きが出てきて。正直、レース直後は維持が精一杯だなと思っていたのでうれしい誤算でしたし、GⅠでも好走できそうな手応えを感じましたね」
 NHKマイルC・3着後はそれほどダメージもない中で放牧に出たギルデッドミラー。放牧先での状態の良さから中京記念出走を決めたとなれば期待せずにはいられない。

 松永幹厩舎といえば、GⅠ・3勝の大エース・ラッキーライラックもオルフェ産駒。クラブの規定で来年3月までにはターフを去るエースの後継者に名乗りを上げるべく、ギルデッドミラーの重要な戦いが始まる。秋に大輪の花を咲かすための重要なステップとなるこの中京記念の走りに、ぜひ注目してほしい。