【旭堂南鷹のビンボー講談師に明日はない】「男なら黙ってキセキ頭やろ!」

2020年06月27日 18時00分

 給付金が入った。妻に「せっかくやから、サートゥルナーリアの単勝にぶっ込むのはどうや」と提案してみた。

「アホなの」と一笑に付すや、「本命は押さえで買って穴で勝負しろ。そう私に教えたんは誰? それがサートゥルの単勝って、どの口が言うてるん」と突如のお怒りだ。

「先週も購入金額の上限決めたら、人気馬からのワイド買うって…。3連単はビンボー講談師を救うって息巻いてたあんたはどこに行ったん」

 怒りはまだ収まらない。「サートゥルの未来に賭けたい気持ちは分かるで。でも、ここは男なら黙ってキセキやろ。去年の秋に凱旋門賞まで行って、貴重な経験をさせてくれたんは? サートゥル違うよ。キセキやで」と壁に張ってあるキセキのポスターをドンと叩いた。僕はぐうの音も出ない。

 キセキは素晴らしい馬だ。だが、スーパーホース級のサートゥルナーリアに勝てるのかと問われると、答えに詰まるのも正直な気持ちだ。「分かった、サートゥルとの馬連勝負や」と妙案得たりとばかりに言うと、「それが押さえやん。1着キセキ、2着サートゥル流しの3連単こそがポリシーと義理を両立させる馬券やん」。妻にそう言われて、その気になってきた。キセキは一昨年の有馬記念以降、ゲートを出てからの俊敏さに欠けていた。それがために逃げるまで脚を使ったり、後方からの競馬を余儀なくされた。力を出し切ったと言える競馬は少ない。ところが、武豊が初めて乗った春の天皇賞では見事なスタート。巻き返しの余地は十分にある。

 サートゥルは現役で一番好きな馬だが、キセキは僕の競馬史において特別な馬だ。ここは、キセキの頭勝負で「南鷹は男でござる」と大見えを切ろうじゃないか。

「安心しぃ。サートゥル頭は私が買うから」。妻がしてやったり顔でそう言った。給付金夫婦完全分離制の我が家は、角居キュウ舎と同じく“敵は身内にあり”だ。

◎⑭キセキ
○⑤サートゥルナーリア
△⑪ラッキーライラック
△⑬ダンビュライト
△①トーセンカンビーナ