【宝塚記念】コロナ禍が開いたグローリーヴェイズの扉

2020年06月25日 19時02分

【宝塚記念(日曜=28日、阪神芝内2200メートル)美浦トレセン発秘話】グローリーヴェイズの宝塚記念出走を知った際、ドバイ開催中止による場当たり的な対応ではないかと当初は疑念を抱いていた。というのも、同馬は関東馬でありながらデビューから10戦中6戦で京都出走をチョイス。“淀の申し子”たる姿を見せてきたのに加え、京都初見参となった2018年きさらぎ賞(2着)時、管理する尾関知人調教師がこんな言葉を発したからだ。

「こうやまき賞(中京=2着)は一瞬坂で脚が鈍り、上りきってからグイグイ伸びた。あの走りを見ると平坦コースが現状ベターかもしれない」

 指揮官がその後、適材適所を貫いたことは戦歴が示す通り。デビュー3戦目からの舞台はすべて直線平坦の舞台を選択し、前走・香港ヴァーズ(国際GⅠ)ではついに大輪の花を咲かせることに成功した。ゆえに違和感を感じたのが、今回の阪神という舞台である。実に2年6か月ぶりに迎える直線の坂…。理論派トレーナーらしからぬレース選びに“やっつけ感”さえ抱いたのである。

 しかし当方の疑念は的外れだったのではないか。そんな思いに至ったのは、京都競馬場が開設100周年の記念事業により改修され、今年11月から23年3月まで開催休止という事実を思い出したからだった。

「確かに坂のあるコース克服がカギですが、あのころと比べると馬自身もかなり成長し、パワーアップもしている。課題とは思うが、楽しみでもあるんですよ」(尾関師)

 国内において同馬が直線平坦のコースを走ることは、おそらく二度とないであろう(京都再開時は明け8歳。他の平坦場には適レースなし)。それは陣営もハナから承知していたのだ。いわば今回は今後の競走生活を占うビッグチャレンジ。そんな覚悟が言葉の端々にもにじみ出る。

「半年ぶりの競馬ということで、追い切りでは内に入れたり外を回したりと実戦勘を取り戻すようにやってきた。普段の調教でも週に3回、意識して坂路コースに入れて坂の走りを確かめてきました。昨年のリスグラシューを見ても香港ヴァーズと宝塚記念は走る馬がかぶっており、それなりに適性はあるかなと感じているんです」

 春はコロナ禍に泣いた同馬だが、その災厄こそが実は新たな扉を開く鍵となるのでは。「塞翁が馬」たる展開を期待したい。