【宝塚記念】ラッキーライラック松永幹調教師「香港遠征がいい刺激に!モマれても心配無用」

2020年06月24日 19時00分

GI・4勝目を狙うラッキーライラック

【宝塚記念(日曜=28日、阪神芝内2200メートル)元JRA助手の極秘情報=特別編】まいど、野村です。今回は「宝塚記念特別編。ラッキーライラックが走る言うんなら、(松永)ミキオ(調教師)のマブダチであるオレが出てこんわけにはいかんからね。いよいよ完成の域に入ったGI・3勝の女傑に対するミキオの手応えは!? コロナ禍の影響で電話取材ではありますが、新聞記者さんじゃ聞かれへんことをガンガン引き出してみせまっせ! さっそく取材開始ですわ。

 ――まいど。まずは電話取材になってもうたこと、ごめんしてな

 松永幹:いえいえ。世の中が大変な中で、競馬ができるだけでも本当に感謝しないといけないですから。

 ――せやね。オレらも取材させてもらえるだけありがたいと思わなアカンよな。さて、ラッキーライラックについて詳しく聞くのは桜花賞(2着)以来かな。あん時もロングインタビューさせてもらって

 松永幹:でしたね。もう2年もたつんですね。

 ――あん時と今とで一番大きな違いってなんやろ。3歳時にはもう「古馬の男馬みたいや」って言われてたと思うけど

 松永幹:確かにあのころから馬体には恵まれていました。でも、まだ潜在能力だけで走っている感も否めませんでしたよね。4歳になってもそれは同じで、春はまだ中身が伴っていなかったというか。

 ――でもそんなラッキーライラックが…

 松永幹:秋にようやくしっかりしてきたということなんでしょう。実が入ったというか、なるべき体になったというか。

 ――デビュー時と比べると40キロも体が増えとるもんね。いよいよ本格化、覚醒ってやつやね。パドックなんか見ててもホレボレしてまうもん

 松永幹:ありがとうございます。それで安定して走れるようになったんだと思います。

 ――きっかけは何やったんやろ

 松永幹:4歳の夏ですね。北海道ですごくいいリフレッシュができて。府中牝馬Sは(3着に)負けてしまったんですが、あのころからすごく充実してきたのを肌で感じていました。それが次のエリザベス女王杯につながったんだと思います。

 ――なるほどね。4歳秋に女王杯で覚醒いうと、どうしてもリスグラシューが頭に浮かんでまうんやけど…。あの馬はモレイラが乗って一変したイメージ。この馬もスミヨンになんかスイッチでも入れてもらったんかな

 松永幹:他厩舎の馬ですし、共通点っていうのはわからないんですが…。でも、女王杯を勝つ前後からの道のりは確かに似ていますよね。

 ――府中牝馬S惜敗→エリザベス女王杯V→香港ヴァーズ2着→年明け初戦2着…正直、リスグラシューとまったく同じやで

 松永幹:府中牝馬S前の休養もそうですが、香港遠征がすごくいい刺激になったのは確かです。あそこでもうひと皮むけたというか、心身ともにもう一段階たくましくなりましたから。モマれた時の心配をしなくて良くなりましたよね。

 ――ちなみに、その後リスグラシューは宝塚記念、有馬記念の両グランプリを制して年度代表馬に

 松永幹:別に(ローテを)寄せていってるわけではないですから(笑い)。でも、続けたらいいですよね。ああいうふうになれたらと思います。

 ――ただ、今回は例年以上のハイレベルメンバー。GI馬が8頭もおる

 松永幹:すごいメンバーだと思います。しかも、そんな中でファン投票2位ですからね。うれしい半面、やっぱり気が引き締まる思いですよね。10万票以上いただいているわけですから。厩舎としてのグランプリ出走はレッドディザイアの有馬記念(2010年14着)以来2頭目。あまり縁がなかったんですが、投票していただいた方の期待に応えられるよう頑張ってほしいです。

 ――今年は牝馬がやたら強いからね。この宝塚記念も牝馬が好結果を残してるし、ええ追い風になるんとちゃうかな

 松永幹:高松宮記念、大阪杯、安田記念…全部牝馬のワンツーですもんね。今年に限ったことなのかもしれませんけど、すごいですよね。

 ――んじゃ、ちょっと時間を戻して前走の大阪杯を振り返ってもらおっかな。牡馬相手のGIタイトルいう、ごっつい勲章が手に入ったわけやけど

 松永幹:枠も良かったですけど、スタートが決まったのが一番ですね。自然といい位置が取れて、スムーズに流れに乗れましたから。それがすごく大きかったと思います。もちろん、状態面の良さもありましたけどね。

 ――大阪杯の2着はクロノジェネシス。以前、ミキオんところでレッドディザイアを担当してた、あの斉藤(崇)君とこの管理馬やね

 松永幹:あくまで大勢いるライバルの中の1頭ですけどね。でも、やっぱり元スタッフの管理馬と一緒にグランプリに出られるのは楽しみです。いい刺激になりますよ。

 ――クラブの馬やから今年がラストシーズンやと思う。海外や何やと考えてると思うけど、こっからの目標は

 松永幹:コロナの影響で明確なビジョンを持つことは難しい世の中ですから。目の前の一つひとつのレースを全力で。これしかないですね。それで無事に繁殖へと送り出すことができれば何よりだと思います。

 ――おしわかった。長々と付き合ってくれてホンマにありがとう。当然のことながら、オレはグリッグリの◎をつけさせてもらうで。ええか

 松永幹:知らないですよ(笑い)。予想は野村さんの判断で勝手にしてください。

 ――ちゃんと勝ってや、頼むで!

 松永幹 そうなればうれしいですね(笑い)。

【ミキオとの関係】桜花賞ん時も書かせてもらったかもしれんが、改めてオレとミキオとの関係について触れておきます。ミキオとの出会いは、オレが山本正司厩舎で攻め専をやってたころ。ミキオは競馬学校2期生でね。(横山)ノリちゃんなんかと同期やったかな。そんなミキオが、オレが所属しとる厩舎に見習い騎手として配属されたわけです。先輩として偉そうにアドバイスなんかもさせてもらったし、ホンマにかわいがらせてもらいました。

 あのころは年に1回、正月には必ずオレんちに招待してましたね。そん時の名残なのか、オレの女房はいまだに「ミキオちゃん」呼んでますし。それに、ウチにはミキオんとこの子供が赤ちゃんやった時の写真かて飾ってありますし、奥さんのことかてよーく知ってます。今でも家族ぐるみで仲良うさせてもらってるんでっせ。

 レースで勝った後は必ず「おめでとうメール」を送るんですが、それにも律義に応えてくれます。ホンマにええ男なんですわ。

☆のむら・いさお 65歳。元JRA調教助手。1971年に栗東・坪重兵衛厩舎に所属。その後は山本正司、池江泰郎など35年間で数々のキュウ舎に在籍。トゥザヴィクトリー(2001年エリザベス女王杯)、ステイゴールド(01年香港ヴァーズ)など、様々な名馬の背中にまたがる。