【函館スプリントS・後記】ダイアトニック58キロの不安を一発クリアしスプリント路線の頂点へ

2020年06月22日 19時00分

ダイアトニック(左)は2番手から危なげなく抜け出して重賞2勝目

 サマースプリントシリーズ第1戦(9・13セントウルSまで全6戦)のGIII函館スプリントS(21日=函館芝1200メートル)は、武豊騎乗の1番人気ダイアトニック(牡5・安田隆)が道中2番手から抜け出して完勝。2019年のGIIスワンSに続く重賞2勝目を手にした。今後、スプリント戦線の主役になれる器なのか探ってみる。

 意外にも名手・武豊にとって今回が函館スプリントS初制覇(札幌スプリントS時代は1994年ゴールドマウンテンで勝利)。「レース前に言われなくて良かった」と余裕の冗談交じりがダイアトニックの強さを象徴している。

 例年に劣らない高速馬場の中、ダイメイフジが大外枠から主張してつくった前半3ハロン通過33秒4の流れを、好スタートから楽に2番手につけた。

「ゲートが良かったし、迷わず前に行った。ハナを切るのも選択肢の一つだった。いいポジションが取れた」と武豊。道中は最重量の58キロを背負っているとは思えない抜群の手応え。ラスト100メートルで先頭に躍り出るとゴール前は流して2着ダイメイフジに2馬身差と、高松宮記念3着の実力をまざまざと見せつけた。

「初めて乗ったけど、高いスプリント能力を持っている。今日は自信を持って臨んだし、今後が楽しみ」。第一人者の言葉の節々から伝わる手放しの賛辞が今後の大きな可能性を物語る。

 父ロードカナロアを手掛けた安田隆調教師は「初めての58キロを心配したけど、レースはまったく心配がなかった。ジョッキーも“余裕があった”と。阪急杯(3着)で1200メートル仕様にしたので対応できると思っていたが、それでも時計勝負には不安があった」。そんな課題も一発クリアだ。

 決して完調とは言えなかった。そんな状況下で、後方から鋭い決め手で勝ったスワンSとは対照的に、スピードを前面に押し出す競馬で楽勝。スプリント路線の頂上を目指せる器と断言したい。

「この後は火曜(23日)に放牧に出してGIIIキーンランドC(8月30日=札幌芝1200メートル)へ。その後はスプリンターズSに向かいます」とトレーナー。父が勝てなかった(12年2着)函館スプリントSのタイトルを手に同じGIの大舞台へ…。今年の秋は必ずや大仕事を成し遂げてくれるはずだ。