【函館スプリントS】ダイアトニック 負けて強しの高松宮記念3着から超進化!

2020年06月17日 21時32分

岩本助手とダイアトニックのツーショット。やってくれそうな雰囲気が漂っている

【函館スプリントS(日曜=21日、函館芝1200メートル)栗東トレセン発秘話】函館スプリントSといえば、昨年の衝撃を思い出さずにはいられない。「7頭立て」という異常な少頭数は、13頭の出走予定馬から6頭が除外されてのもの。昨年初夏に競馬界を襲った“グリーンカル騒動”(競走馬用サプリメント「グリーンカル」の一部に禁止薬物が混入していることが判明し、納入された厩舎所属馬156頭が当週の競走から除外されることに)の影響が、函館SSをもろに直撃したのだ。

“グリーンカル騒動”が判明した開催前日の早朝、たまたまトレセン単独居残りを命じられていた私は、怒りに震える(少し大げさですが)当該厩舎関係者の談話を聞いて回るという、とんでもない貧乏くじを異動1か月目で引かされ、雨がそぼ降るトレセン内を一人自転車で走り回っていたことを昨日のことのように思い出す。だが、そんな私の苦労などは他愛のないもの。実際に除外になった馬たちの関係者のご苦労はどれほどのものだったか…。

 今年の函館SSに出走するダイアトニックを担当する安田隆厩舎の岩本助手は、昨年除外となったダノンスマッシュの担当もされている。

「本当に歯がゆい思いをしましたよ。当然、次のレースまで想定して函館SSに臨むはずだったのに、すべてが白紙に戻る可能性もありましたからね」と岩本助手は苦笑交じりに当時を振り返る。

 幸いダノンスマッシュは、仕切り直しとなったキーンランドCで当時ライバルと目されていたタワーオブロンドンを抑えて見事に勝利。「ホッと胸をなで下ろしました」(岩本助手)

 覚えておいでの読者もいるかもしれないが、岩本助手には担当馬2頭(ダイアトニック、ダノンスマッシュ)が出走した高松宮記念前にもお話をうかがっている。それぞれ個性の異なる2頭の特徴と現状を丁寧かつ的確に説明していただいた。その微妙なニュアンスの違いから「ダイアトニックのほうがデキがいいのでは」と感じ取った私は◎をダイアトニックに進呈(大した価値もないが)。馬券も「頭」から買い込んだ。だが、結果は3着…。

 今さらグチは言うまい。ただ、ラスト1ハロンの手応えを見れば、不利がなければ間違いなくそのまま突き抜けていたように思える。しかし、岩本助手からは恨みごとは何ひとつ聞こえてこず、「あれだけ挟まれたら、普通の馬ならヒルんで下がっていきますよ。でも下がるどころか、あそこから盛り返して、食い下がりましたから。並大抵の根性じゃないですよね」。純粋にダイアトニックをたたえ、改めてその勝負根性にホレ直したようだ。

 高松宮記念でいよいよスプリンターとして本格化の兆しを見せたダイアトニックに岩本助手は、「以前のようなズブさもなくなって、器用に好位に取りつけるようになりました。函館の力を要する馬場も、前回あれだけ悪い馬場をこなしたことを考えれば、心配いらないと思いますよ。何よりまだまだ成長過程にある馬。前回と比べても体つきが本当にしっかりとしてきました」とさらなるバージョンアップに太鼓判を押している。

 昨年の函館では不慮の出来事で苦汁を飲まされたダノンスマッシュと岩本助手。今年はもう一頭の愛馬ダイアトニックが必ずリベンジしてくれるはず。岩本助手の笑顔が函館の地で輝くことを心から願っている。