【安田記念・後記】GI・2勝目グランアレグリア まだ続く強い牝馬時代

2020年06月08日 21時33分

殊勲の池添=グランアレグリアをバンザイポーズで迎え入れる藤沢和調教師。完勝だった

 レース史上最多のGI馬10頭が顔を揃えたビッグマッチ、第70回安田記念(7日=東京競馬場・芝1600メートル)は、3番人気のグランアレグリア(牝4・藤沢和)が直線力強く抜け出して快勝。芝GI最多の8勝目を狙った現役最強馬アーモンドアイの夢を打ち砕いた。

 桜花賞に続いて2つ目のビッグタイトルをゲットした4歳馬の今後は極めて明るく、強い牝馬の時代はまだまだ続きそうだ。

 現役最強馬のアーモンドアイをまったく寄せ付けなかった。その差は2馬身半。稍重発表だったとはいえ、ごまかしの利かない東京のマイル戦という舞台を考えれば完勝だ。

「返し馬で素晴らしい状態に仕上がっている、と感じた。道中は折り合いに気をつけていたが、いいリズムでいいポジションが取れた。もう少し追い出しを我慢してもと思ったけど、外から並びかけてきたので、フタをされるよりは気分良くハミを取っているタイミングで行ったほうがいいと思って動かしていった。抜け出してからは、後ろから何が迫ってきてるのか分からなかったので必死に追った」とは殊勲の池添。

 3コーナーで芝の塊が右目を直撃し、レース後の会見では目が大きく腫れ、出血も見られるほどのアクシデントだった。視界が狭まる中、闘魂騎乗でもぎ取った勝利だ。

 ジョッキー自身が認める早めのスパートにもかかわらず、グランアレグリアの上がりは最速の33秒7。これでは後続が追いつけないのも当然だ。最強の敵アーモンドアイがスタートも含めてスムーズさを欠いたのは確か。しかし、これはマイルという条件ではグランアレグリアが互角以上のスピード能力を持っていたということの証明であり、これこそが最大の勝因でもある。

 高松宮記念(2着)から安田記念へ。決して順調なステップだったわけではない。当初予定していたヴィクトリアマイルは「立ち上がりが遅れた」(藤沢和調教師)ことにより回避。目標をこのレースに切り替えた経緯がある。さらに言えば、1200→1600メートルと性質の異なるレースを使うのはリスクも伴う。ゲートが開いた後、馬がペースの違いに戸惑うことも珍しくないのだ。しかし、そんなハンデも見事にクリア。2歳時、あれだけ折り合いに苦しんでいたのがうそのような完璧なレース運びだった。

 藤沢和調教師から以前、こんな話を聞いたことがある。「基本的には動物のオスはバカ。メスのほうが頭がいい」。思えば、NHKマイルC(5着)以来の実戦だった昨年暮れの阪神Cでは馬混みもあっさり克服して圧勝。このあたりは牝馬ならではの賢さなのかも。アーモンドアイやリスグラシュー、ラッキーライラック、そしてグランアレグリアと強い牝馬が続々と登場するのも、そうした“扱いやすさ”とも無関係ではないかもしれない。

 桜花賞に続く2つ目のGIタイトルは最強馬を破る値千金の勝利。458キロでデビューした牝馬はこの日、自己最重量の492キロになっていた。今後は休養に入り、秋は1200~1600メートルのビッグレースがターゲットになる。アーモンドアイとの再戦があるかどうかは微妙だが、完成された女王はまだまだ大きな可能性を秘めている。