【安田記念】“中2週”アーモンドアイ 前走後に馬体はどう変化?

2020年06月05日 21時02分

上からアーモンドアイ、インディチャンプ、アドマイヤマーズ

【安田記念(日曜=7日、東京芝1600メートル)“智将”中村均元調教師の獣医学的馬体評定】10頭ものGI馬が出走を予定し、かつてないほど豪華な安田記念です。そんな中でもひときわ、注目を集めるのはアーモンドアイ。今回は自身最短のローテ(中2週)での出走となるので、前走後に馬がどう変化しているかを注視すべきでしょう。アーモンドアイのつくりに違いがあるかどうかを中心に、これに続くであろう牡馬2頭の馬体チェックもしていきたいと思います。

 結論から先に言いますと、アーモンドアイの馬体を見た印象は、圧勝したヴィクトリアマイルのレース前とほとんど変わらない、それどころか、さらにたくましくなったように見受けられます。姿が変わらないというのは前走の疲れがないということであり、さらにたくましくなったというのは前走時、やや太めに映ったトモが引き締まってきたということです。もちろん、ヴィクトリアMのレースが楽で負担がかからなかったという側面もありますが、アーモンドアイの馬体の特長が、中2週のGI連戦でもデキの良さを維持させている、とも言えます。

 滑らかな肩の傾斜(50度)と短い背中とともに、柔らかく強い伸縮性のある発達した筋肉。加えて可動域の広い肩関節が前肢の伸びと返しを大きく作動させ、さらに速いピッチを生み出しています。牡馬のような、ゆとりのある腹袋と立派な後躯。柔軟な股関節、発達した大腿二頭筋、真っすぐ伸びた高位置の飛節。それらはどれも後肢を深く踏み込ませ、後ろに大きく蹴り飛ばす役目を果たしています。

 着地の衝撃を和らげ、次に跳び上がるために、必要な柔軟で強靱な長いつなぎ。どのパーツも、より速く走るためのつくりになっていて、理想的な全身体形です。医学的には血液性状や内臓諸器官の働き(特に心音など)まで診てみたいもの。前走の再現を期待してよさそうです。

 インディチャンプのつくりは父のステイゴールドに似て大型ではなく、中型の体形でコロッと丸みを帯びています。体長は短めで、体高もそんなに高くはありません。背中は短いのですが、腹部分がもう少し長くてもいいのでは、と思わせますね。

 特長として挙げられるのは背中の胸僧帽筋、闊背筋の発達が良く、背部の強い柔軟性と伸縮性を生み出しているところです。この馬の良さは坂路で鍛えた、前後肢のバランスのいい筋肉の発達が、速いピッチで安定した走りをもたらしている点にも表れています。

 肩傾斜は52度と標準的ですが、肩に付随している、各鎖骨筋、頸僧帽筋、浅・深胸筋、上腕三頭筋、三角筋などが素晴らしく発達し、前躯の駆動を強力にしています。加えて浅・中・深殿筋、大腿二頭筋、半腱半膜様筋の発達もいいため、後躯の駆動も強いのです。その形はマイラー特有の押しトモに近いのですが、中距離にも対応できる形をしており、タフな東京マイル戦を考えれば、これも頼もしい。さながら女傑に立ち向かう男戦士の1番手です。

 アドマイヤマーズは前記2頭に若さでぶつかっていく“青年団”の代表格です。興味深いのは走法、体形がマイラータイプには見えないのに、一つひとつを細かく分析すると、なるほどという点が浮かび上がるところです。

 前肢は長めで、肩の傾斜は50度とマイラーにしては滑らかです。その一方でマイラーらしく肩の筋肉が非常に発達。滑らかな割にそれほど前脚が出ていないのですが、発達した三角筋と上腕三頭筋が、強いかき込みと速さを生み出しています。後躯の脚は特に長く、飛節も高く、大きな可動域で走り、筋肉も全体的によく発達し、強いキック力を持っています。

 手脚の長い細身な体と、大きなストライドで走るところがマイラータイプとは違うのですが、ゴーサインとともに前述の発達した筋肉のおかげで大きな跳びにピッチが加わり、さらに速くなる。ストライドの大きさゆえにスタートダッシュが少し悪いのですが、すぐにピッチが上がるので隊列にスッと追いつき、鞍上の合図と同時にすごい瞬発力と粘りを発揮することができます。

 この馬に関しては半年ぶりの実戦というのもポイントでしょうが、写真を見る限り、しっかり仕上がっている印象を受けますね。