【日本ダービー・後記】コントレイル怪物伝説!遊んでもVで無敗3冠見えた

2020年06月01日 21時34分

直線楽に突き抜けたコントレイル。まさに怪物級の走りだった

 ひょっとしてとてつもない怪物かも――。76年ぶりの無観客開催となった第87回日本ダービー(東京芝2400メートル)が31日、東京競馬場で行われ、単勝1・4倍の絶大な支持を集めたコントレイル(牡・矢作)が無敵の強さで皐月賞に続く栄冠を手にした。無敗で皐月賞&ダービーを制した2冠馬は2005年の父ディープインパクト以来15年ぶりという偉業で、皐月賞で一騎打ちの末に下したサリオスを今回は完膚なきまでに打ち負かした。

 まさしく独壇場だった。後方からの競馬を強いられた前走の皐月賞から一転し、この日のコントレイルは好発を決めるとすぐさま先行集団にとりつく勢い。最初のコーナーを3番手の内で回ると、その後はじっくりと折り合いに専念した。

 向正面では5ハロン通過61秒7のスローペースにしびれを切らした横山典=マイラプソディが一気に馬群の外をまくって先頭へ。それに動じることもなく自分のリズムを貫いて直線へ向かうと、外に持ち出して進路を確保。最後は自慢の末脚を炸裂させ、並びかけそうな勢いで迫ったサリオスを逆に3馬身突き放してクラシック2冠を獲得した。

「皐月賞の時は(スタートして)促さなかったけど、今日はポジションを取りたかったので促して流れに乗せた。あそこで引いたら位置が相当悪くなりますから。できればサリオスの後ろにつけたかったが、(前にサリオスが)いなかったのでどこを狙おうか探りながらだった」と序盤を振り返った福永。

「(向正面で)ノリさん(横山典)が来るんじゃないかと外に意識を向けていた。だからあそこでコルテジアの後ろに進路を取った。3角と4角でのポジション争いがこのレースのポイントだった」と冷静にレースを分析した。

 つまり、ジョッキーの誰もが勝利に向けて精根を尽くす頂上決戦で、福永は完璧な位置取りでレースを支配し、勝ち切った。もちろん馬の強さもあっての完勝劇であり「先頭に立つと遊ぶので若干追い出しを遅らせたが、やっぱり遊んだ。後ろはあまり気にならず、真面目に走ってくれるかを考えていた。でもブレーキをかけるのではなく、しぶしぶ走っている感じで…。それでこの結果。強い馬です」と福永も底知れない強さに脱帽するばかりだった。

 12年ディープブリランテ以来2回目のダービー制覇となった矢作調教師は「なかなかダービーで(単勝)1倍台の1番人気を出走させる機会はないから、それだけの責任感を感じて仕事をしていました。今日は究極の仕上げができたと思います。ファンの皆さんが(競馬場に)いらっしゃらないのが残念でたまらないが、馬を褒めてやりたい。“秋は国内に専念する。3冠を狙いに行くぞ”というのがオーナーの気持ち。秋にはぜひ、皆さんの前で強いコントレイルを見せたい」と3冠取りを高らかに表明した。

 馬場から引き揚げる際、本来なら大観衆で埋め尽くされているはずのスタンドに向かって、ピタリと歩みを止めて一礼した福永。「(コロナ禍による無観客競馬が続く)こういった状況の中でも競馬をさせてもらえる、感謝の気持ちを表したかった」とその意味を説明した。馬の蹄の音だけが響く空間で、競馬が行われるありがたみに改めて謝儀を示した。

 これから続くのは父と同じ無敗の3冠馬へという険しい道だが「460キロというサイズは、日本の時計の速い馬場では競走馬として理想的」(福永)、「ディープインパクトの決定的な後継種牡馬を残す意味で生産界でも大きなこと」(矢作調教師)と両者からは書き切れない賛辞があふれた。この馬ならそれも簡単にやってのけるかも。“静寂のダービー”を制した歴史的2冠馬が、今後どれだけのスターホースになるのか…。今日の勝利はまだその序章にすぎない。