【日本ダービー】“智将”中村均元調教師がコントレイル&サリオスの馬体を徹底診断

2020年05月29日 21時05分

伸縮自在のコントレイル(上)と強力後躯のサリオス

【日本ダービー(日曜=31日、東京芝2400メートル)“智将”中村均元調教師の獣医学的馬体評定】今週は全国の競馬ファンが待ちに待った日本ダービー。私自身も非常に楽しみにしていました。残念ながら無観客のため、東京競馬場でライブ観戦することはできませんが、皆さん、ワクワクしていることでしょう。今年のダービーは皐月賞で後続を離したコントレイルとサリオスの一騎打ち。これが一般的な評価。そこで今回は「2強」の特徴を馬体診断で解説していきたいと思います。

 コントレイルは馬体重が460キロ台で程よい大きさ。全体的な体形もバランスが良く、欠点がありません。首の付け根もしっかり太く、肩の傾斜(50度)がすごく滑らかで、つなぎもほぼ同じ傾斜。柔らかくてクッションがとても利くのでしょう。背中は短く、伸縮性に富んでいます。後躯の形も良くて、飛節も真っすぐで位置が高い。

 ゴムマリのように伸び縮みしながら走るのがこの馬の特長ですが、それは前躯の肩関節と後躯の股関節が柔らかく、加えて体全身の筋肉が柔軟で、かつ伸縮性があるからできることです。

 ストライドはそれほど大きくはないのですが、ピッチが速く、ゴーサインが出ると姿勢がグンと低くなってストライドが伸び、ピッチもさらに速くなる。反動の少ない乗り心地のいい馬だろう、と推察されます。それゆえ、レースでのダメージも大きく受けることがないのでは。

 追い切りの様子を見ても状態は完璧に近い。さながら全勝優勝を目前にして、千秋楽の土俵に仁王立ちする大横綱のようです。

 対してサリオスは肩傾斜が49度と、これまでこの馬体評定で見てきた中で最も滑らかです。それなのに前肢の出が思ったより悪いのは肩の厚さのせいでしょう。胸前が広く(抱きが広い)、肩の筋肉が発達しすぎているため、出が窮屈になる。それでも前に出た前肢を戻す筋力は強く、そのかき込みは鋭い。それゆえ、この馬のピッチは速いわけです。

 前肢の出の悪さをカバーしているのは特筆すべき後躯。臀部の浅・中・深殿筋が非常に発達しており、大腿二頭筋もよく盛り上がっているので、キック力が非常に強いのです。この部分の強さが身体すべてを遠くに飛ばす役目を果たしています。

 実はこういう走りは、いわゆるマイラーの走法なのですが、胸囲の広さからも推察される心肺機能の高さが、距離を持たせるのでしょう。皐月賞を見ても恐るべきエンジンの持ち主です。

 コントレイルが大横綱なら、こちらもまた大横綱。栗東、美浦の所属とは逆になりますが、さしずめ、無敗のコントレイルがより地位の高い東の大横綱で、サリオスがそれを阻止すべく立ち上がった西の大横綱ということになりましょうか。