【日本ダービー】ガロアクリーク松本厩務員「ダービー馬はダービー馬から」に真っ向挑戦

2020年05月29日 21時03分

ガロアクリークと笑顔の松本厩務員。人馬は厚い信頼で結ばれている

【日本ダービー(日曜=31日、東京芝2400メートル)美浦トレセン発秘話】ダービー馬はダービー馬から――。夢に満ちあふれたこのフレーズはホースマンたちが毎年、目指す憧れの道。今年も例外ではなく、ディープインパクト産駒コントレイルを筆頭に、数多くのダービー馬の産駒たちのプライドが激突する中、この流れに真っ向勝負を挑むのがガロアクリークを担当する松本厩務員である。

 上原厩舎を開業時から支えるベテランとあって思い出はあまたあるが、重賞3勝を挙げたプレミアムボックスで挑んだキンシャサノキセキとの戦いの数々は今も記憶に鮮明なのだという。

「あの馬に先着したのは生涯でたった一度だけ(2009年スプリンターズS)。それも両馬とも惨敗した時だから、格好いいもんじゃないんだよね。遠征先はいつも(キンシャサノキセキ担当の)小林さんと一緒だから“一回くらい勝たせてよ”って冗談交じり(=実は本気)に言ってたくらい。ホントかなわなかった。その子供で俺がダービーに出るんだから、まさに血がつなぐ縁だよね」

 前出2頭の対決の舞台は1200メートル中心の短距離戦。キンシャサノキセキ産駒ガロアクリークで府中の2400メートルに挑むことに不安はないのかと尋ねると、「それがないんだよね」と間髪を入れずに返ってきた。当時の研究熱心さから得た実体験が、その自信の裏付けとなっている。

「キンシャサノキセキをとにかく負かしたかったから、パドック周回中からずっと見てたんだ。体つきやトモの運び、テンションの違いとかね。だからよく分かるのは、ガロアクリークはキンシャサノキセキとはいろいろ違うってこと。ゆったりしたストライドで跳びも大きいし、ヒューイットソンが初めて乗った時も“距離はノープロブレム”って。とにかく格好がいいし、皐月賞(3着)でもやれる自信はあったんだ」(松本厩務員)

 とはいえ、皐月賞でコントレイルにつけられた着差は4馬身。わずか6週間で“マツモトノ奇跡”は起こるのだろうか。

「(コントレイルは)勝負どころで見えない場所にいたし、器用さがないから一瞬の切れ味勝負では厳しかった。直線が長い東京に替わるのはもちろんプラス。少なくとも後ろから他馬に差されるイメージは湧かないね。運動場で立ち上がるくらい、まだ子供なのに、レースになると、幼さを一切見せない。先々はともかく正直、ここまで早く出世するとは思わなかったよ」

 52歳で迎える初めてのダービーにも「緊張? まだしないなぁ~。胸を張ってパドックで引っ張れるダービーなんて、二度はないかもしれないのにね」。自分のペースを守り、昼夜を問わず同じルーティンで迎える頂上決戦・無観客ダービー。

「この世界に入った時からダービーを目標にやってきた。こんな時だからこそ、喜びと感謝の気持ちをかみしめて楽しみたい。ただ、奇跡って言葉は好きじゃないな」

 それでもあえて使わせてもらおう。記者は“マツモトノ奇跡”を信じている。