【日本ダービー】角居調教師に学ぶ2頭出しのメリットとデメリット

2020年05月28日 21時32分

馬券に生かしたい角居調教師の“ダービー置き土産”

【日本ダービー(31日=日曜、東京芝2400メートル):集中連載「中村均元調教師 令和2年のロジャーバローズを探せ!(3)】

 中村均:旭堂さん、電話取材でこれという穴馬候補見つかったかい?

 旭堂南鷹:その前に考えてみたんです。令和2年のロジャーバローズを探すのがこの“軍議”の目的ですよね。なら、ロジャーバローズを管理していた調教師に聞くのが先じゃないかと。

 稲富菜穂:あっ、角居先生ですね。先生と旭堂さんはかつて一緒に飲み食いして、厩舎でともに寝泊まりしたぐらいの間柄ですもんね。

 中村:来年2月で調教師を引退する角居君にとって今年がラストダービー。本当は管理馬を出走させたかっただろうな。

 旭堂:2勝している馬の登録をある関係者から勧められたそうですが、将来を考えてやめたそうです。今はダービーに使えない悔しさを、俺っていい人だなという自己満足で和らげているって笑ってました。

 稲富:さすが器が大きいです。

 旭堂:でも言ってましたよ。去年、中村先生に★ロジャーバローズを抜てきしてもらって、うれしかったって。かつて数々の戦略を用いて大レースを勝ってきた名将のお言葉で勇気が湧いたと。

 中村:ダービー2勝の名トレーナーに言われるとなんだか照れるな(笑い)。でも、あれは角居君のところの高い厩舎力ゆえだよ。だから2頭出しの人気薄でも勝ってしまう。

 旭堂:そこなんです。角居先生の話で興味深かったのは。今年のダービーも2頭出しが多いじゃないですか。

 稲富 矢作厩舎に、池江、友道、相沢厩舎…。確かに多いですね。

 旭堂:2頭出しだと厩舎内で競争が起きるからそれがメリットになるって角居先生がおっしゃってました。昨年で言うとロジャーバローズのデキが良かったから、サートゥルナーリアの担当者からすると、「ロジャーはバカにできない」という気持ちになり、ロジャーの担当者は最大のライバルが目の前にいるわけだから、「この馬を倒す」という気持ちが盛り上がってくるんだって。

 中村:結果、2頭出しでも人気のないほうが勝つということが起こるんだよな。私の現役時代でも3回に1回ぐらいはそういう結果になった記憶がある。

 旭堂:2頭出しのデメリットは手の内がバレることって笑ってました。馬というのは、人間のモチベーションが伝わってしまう。2頭出しは人気薄を買えという格言は、そういう影響が少なからずあるんだと思いますと、おっしゃってましたね。

 稲富:うわー、急にサトノインプレッサとかが気になってきちゃった!

 中村:戦で現れる伏兵は、木や森、あるいは建物の陰から突然飛び出してきて、相手を驚かし、ときに大勢の軍勢を打ち負かしてしまう。私が打つ奇襲印★の信条もそこにあるんだが…。今年はどうにも皐月賞の上位2頭が抜けていて、見つけにくいんだよ。

 旭堂:角居先生は、隠れた素質は時計に表れるって。スピードというのは後づけできるものではなくて、素質そのもの。速い時計のある馬は、素質の高い馬と言えますと。

 中村 私が重視するのはやはり生涯一のデキにあるかどうかということと距離適性だな。オークスでも2400メートルの距離適性が最もあるとにらんだ★ウインマリリンが2着に頑張ったしな。でも、角居君の話は大変参考になったよ。

 稲富:私も何かヒントが見えてきた気がします。

 旭堂:今、角居先生は来年の勇退に向けて、厩舎の片づけをしているんだそうですけど、中村先生の厩舎のメモリアルVの記念キャップが3つ出てきたそうです。ちゃんと区切りごとに作られていたんだと感心されていました。大事にこれから使っていきたいとおっしゃっていました。

 中村:ハハ…先輩を立てるのがうまいな、角居君は。来年で辞めるというのは競馬界にとって大きな損失だよ。

 旭堂:角居先生のダービー置き土産、ボクはしっかり馬券に生かします!