【日本ダービー】サリオス「堀式逆算メソッド」でコントレイル撃破へ

2020年05月27日 21時34分

堀軍団の先頭を歩むサリオス。貫禄十分だ

【日本ダービー(日曜=31日、東京芝2400メートル)得ダネ情報】令和2年のクラシックは無敗馬が戴冠する流れが出来上がっているのか? 第87回日本ダービーの下馬評が「コントレイル1強」に傾く中、堀厩舎番の虎石晃記者は「むしろサリオスに追い風が吹いている」と不敵に笑う。「堀式逆算メソッド」による、理にかなった仕上げが、大一番での逆転のシナリオを完成させる――。

 2015年、堀厩舎はドゥラメンテで初の日本ダービー制覇を成し遂げた。しかし、レース当週の追い切りで4ハロンからサラッとした時計しか出さなかったことで、堀調教師は元騎手の解説者から戦前、失笑交じりにこう言われたという。

「そんな手ぬるい稽古ではダービーは勝てない」

 確かに、ひと昔前は直前もビッシリと追い切るのが常道だったのだが、育成牧場における調教技術の向上、高速馬場による肉体的負担の増大などにより、やみくもに高速時計を連発させる厩舎は激減していく。

 それでもやはり、ビッグレースは勝手が違う。えりすぐりのサラブレッドによる極限のタイムトライアル。たとえポテンシャルがトップレベルにあっても、生半可な仕上げでは栄光をつかむことはできない…と思われてきた。

 藤沢和調教師は高速時計を出さなくても馬を仕上げられる調教法、いわゆる“馬なり調教”を普及させたトレーナーとして有名だが、その方法論を日本ダービー仕様としてさらに進化させたのが堀調教師だ。

 いまやダービー当日は炎天下での戦いとなることが多く、心身ともに完成途上の若駒にはことさら厳しい環境になった。そのため本格的に暑くなる前の涼しい時期(1、2週前)に高速時計を出してトップコンディションへと押し上げ、直前はその維持に努めるのが近年のダービーの新たな勝ち方に。言ってみれば“逆算のメソッド”。それを先陣切って実行、そして成功させ、名実ともに堀調教師は新時代のトップトレーナーとしての地位を確立したのである。

 そして、今年のサリオスもまた、圧勝を飾ったドゥラメンテと同様の調教過程を踏んでいる。

「2週前に強めの負荷をかけたことで心肺機能がグンと良くなりました。前走(皐月賞=2着)からさらに距離が延びるので、意識的にシャープな体つきにつくっています。この中間はカイバの量を増やしながらも、19日の計量では534キロ(皐月賞時が536キロ)。体は確実に引き締まってきていますね」

 堀調教師は皐月賞からの着実なステップアップを証言した。

 一時期は早くも夏到来を思わせる気温上昇がありながらも、今月下旬には再び下降。師が「天候が予報通りなのは助かっている」と口にするように、負荷をかける時期が負担のかかりにくい状況なのが“逆算のメソッド”を完遂させるための絶対条件。自然をも味方に、コントレイル逆転のシナリオが確実に描かれつつある。

 先週のオークスは段違いのポテンシャルを誇る桜花賞馬デアリングタクトが見事に無敗の牝馬2冠を達成させた一方で、2着に食い込んだのは7番人気の関東馬ウインマリリンだった。

 この時季、輸送時間は短ければ短いほうがいい。ましてや、今週は25度前後にとどまる関東に対して、関西では30度近くまで気温が上昇する予報が出ているように、文字通りの“西高東低”だ。

 果たして高温下での追い切り、さらには長距離輸送が控えている西のコントレイルは万全の状態で出走できるのか? 東のサリオスに風向きが変わり始めているのは間違いないと感じている。