【日本ダービー】ディープボンドは3世代制覇へ深い絆が生んだ“傑作”

2020年05月27日 21時32分

ディープボンドの鞍上ではガッツポーズの先取りシーン?が見られた

【日本ダービー(日曜=31日、東京芝2400メートル)栗東トレセン発秘話】「夏の甲子園中止」という一報に、池田高校快進撃以来の高校野球ファンである私もすっかりしょげかえっているのだが、ある大物競馬関係者からは「日本ダービーも全ての競走馬、およびその関係者にとっての甲子園のようなもの」との発言が…。確かに6月の新馬戦を皮切りに1年間、夢のダービーを目指し、人馬一体になって突き進む姿を間近に見てきた身としては、その言葉に妙に納得させられる。

 そう考えると「父子で甲子園の優勝投手になった」という話は耳にしないが、「父子でダービー制覇を成し遂げた」例は昨年までに13組を数えるのは感慨深い。そして、なんと今年は父、子、孫3世代にわたるダービー馬が誕生する可能性があるというのだ。

 少々強引な前振りになったが、偉大な祖父ディープインパクト、父キズナに続くダービー制覇を目指すディープボンドの話を、大久保厩舎の調教パートナーである谷口助手に伺った。

 ディープボンドのこれまでの軌跡は地味にも見えるが、実はデビュー前から調教で見せる抜群の動きがひそかに注目を集めていた。

「確かに最初から動いてはいましたね。体が長くて跳びが大きい馬だけに、しっかり背中を使えるようになれば、面白い存在になるとは感じていました」

 そして、大一番が近づくにつれ、谷口助手の想像を超える成長曲線を描きだしたのだという。

「調教では時計は出るけど、ワンペースな感じだったのが、競馬を使うたびに想像以上に成長して、メリハリがつくようになった。今は自分がやるべきことを完全にわかっている感じですね」

 聞くところによれば、父キズナもダービーが近づくにつれ、急激な成長を遂げたというが、ディープボンドも「またがったら、それまでと気配が一変していた」という皐月賞前を契機に、大きく変貌を遂げていく。

 18頭立て18番人気で臨んだクラシック第1冠は10着。着順だけ見れば好走とは言いがたいが、谷口助手の見解は異なる。

「ペース配分、コース取りを考えれば、もっとしんどい競馬になっていてもおかしくなかった。人気通りにはならない自信はありましたが、十分格好はつけてくれたというか、内容はあったと思いますよ」

 中2週で臨んだ京都新聞杯での重賞初制覇がその言葉を裏付ける。間隔が詰まっていたがゆえに、「あまり自信はなかった」という谷口助手の心配をよそに見事、残り少ないダービー切符を力ずくでもぎ取ってみせた。

 振り返れば、父キズナも京都新聞杯勝ちからの臨戦で日本ダービーを制覇。いやが上にも期待は高まる? 正直なところ、他馬のゆったりとしたローテーションに比べ、ハードスケジュールが異彩を放ちまくっているというか、大丈夫なのか心配にもなるが…。

「ここまで短い間隔でバンバン使っていることがレースにどう影響するかは正直、わかりません。ただ、今も調教の動きが抜群なのは確かです」とした谷口助手は「もう一つ確かに言えることは、あのストライドを考えれば、距離が延びるのは絶対にプラスだということ。少し怖がりなところがあるので、2列目くらいの外とか、かぶされない位置で運べれば、面白いかもしれませんね」と。

 父子2代でのダービー制覇を果たしたディープインパクトとキズナ。その父子の深い(ディープ)絆(ボンド)が生み出した“傑作”ディープボンド――。ダービー制覇の暁には、そんな見出しを1面に立ててほしいと勝手に思っている。