【日本ダービー】皐月賞馬コントレイル 無敗2冠へ「究極」進化!もはや何かを課すレベルは超越

2020年05月26日 21時34分

馬房で無邪気に寝わらを蹴り上げるコントレイル。皐月賞後も元気いっぱいだ

【日本ダービー(31日=日曜、東京芝2400メートル)得ダネ情報】満天下注目の大一番、第87回日本ダービーが刻一刻と迫っている。2017年生まれの3歳馬=7262頭の頂点に最も近い馬は4戦無敗の皐月賞馬コントレイル。2005年のディープインパクト以来となる7頭目の無敗の2冠馬を目指す。新型コロナウイルス禍で76年ぶりに無観客で行われる3歳頂上決戦だが、ホースマンたちは究極の一戦に向けて管理馬を仕上げる。最高の戦いが繰り広げられるのは間違いない。

 無敗でのダービー戴冠となれば、05年のディープインパクト以来となる快挙。皐月賞ではサリオスとマッチレースを繰り広げ、プライドを懸けた2歳GI馬対決を制したコントレイルにかかる期待は大きい。しかし、昨年のサートゥルナーリアの例を持ち出すまでもなく、そのミッションが簡単なものではないことは歴史が証明している。ただ一度きりのチャンスであり、最高峰のレースにおいて頂点を目指す重圧は、並大抵のものでないことは想像に難くない。

 しかし、そんな周囲のささやく不安や雑音をよそに、あくまでも陣営は自然体の姿勢を貫く。

「皐月賞の後は大山ヒルズ(鳥取)へ放牧に出ていましたが、すごくいい形で帰ってきてくれたことで、現状では何も言うことがないくらいに順調。まずは無事に順調であることが何よりで、このままダービーへ向かえれば」

 これは20日に1週前追い切りを終えた時点での矢作調教師のコメント。主戦の福永が手綱を取り、栗東トレセンのウッドコースで6ハロン79・9秒の速い時計をマーク。僚馬を追走し、内から1馬身ほど先着した。

 これまでの競馬で見せてきた圧倒的なパフォーマンスに比べると、ラストの伸びに物足りなさを感じる向きもあるだろうが「しっかりと負荷をかけることに重点を置いた追い切りで、折り合いもついて満足のいく調教ができました。ホープフルSから皐月賞までの間隔が空いていた時に比べると、今回は調整しやすいというところはあります」と同師。

 併走相手のステイフーリッシュは古馬のオープン馬で、騎乗していたのは体重の軽い坂井。強力なパートナーを指名することで、ゴールまで馬体を併せて気を抜かせず走らせる稽古だった。

「思っていたより時計は速くなったけど、無理をしなくても楽に走れていた。課題を厩舎スタッフと牧場の方で改善してくれたおかげでバランスが良くなったし、もう直すところもない」

 陣営と同じく順調な過程を強調する福永にも、ホープフルS、皐月賞を前にしたころの気負いはみじんも感じられない。

 現状維持で勝てるほどダービーは甘くないのでは? さらなる進化とまでは言わないまでも、もう一段ギアを上げる必要があるのでは? そんな疑問を持つうちに思い当たったことがある。

 東京スポーツ杯2歳Sを破格のタイムで勝利したうえで迎えたホープフルS。「正直、中山の二千がベストの条件とは思えない」と語っていたのは矢作調教師。

 年末最後の荒れた中山の馬場で鞍上が福永に戻り、どういった競馬になるのか…一部では不安視する声が上がったのも事実。意外なほどにソツのないレース運びで不安を一蹴したものの、直線抜け出したところで気を抜いて内にモタれるしぐさを見せた。

「なぜ前回でライアン(ムーア)が1頭になってからも、ゴールまで追うのをやめなかったのかが分かった」と福永。

 2歳時の調教ではテンションが高く前進気勢も強い。有り余る能力ゆえ自ら相手をねじ伏せるような競馬を強いる型にはめてしまえば、今後の厳しいクラシックでは足をすくわれる恐れも生じる。

 また、調教での負荷を強めると思うように体は成長しないし、母系の血統を思えば距離の壁に突き当たる可能性も否めない。実際、“仕上がり過ぎる”ことを避けてトライアルには使わず、ぶっつけでの皐月賞参戦。そこには、追い切り以外の日でも調教をつける福永の姿があった。

 実は多くの課題を抱えたまま迎えた皐月賞。1番枠がアダとなり、道中は後方まで位置を下げて、ホープフルSとは全く違った展開になった。

 だが、そこできっちりと折り合い、勝負どころで外を回して一気に加速。直線で必死に食い下がるサリオスの姿に、再度闘志に火がついたような走りで栄冠をもぎ取った。

「強い競馬だったと思います。道中はヒヤヒヤしましたが、いろいろな面でダービーへ向けて収穫を得る競馬ができました」とレースを振り返った矢作調教師。単に1冠目制覇というだけではなく、意図せずポジションを下げてしまい、強い相手と最後まで競り合ったことで、課題のすべてを克服し、新たなる可能性が見えた。

 走るごとに自らの強さと進化を示してきたのがコントレイルという馬の最大の特徴であるなら、もはや何かを課すレベルは超越し、それが前述の陣営、ジョッキーのコメントに表れているのだろう。