【オークス・後記】松山が無敗の2冠デアリングタクトと歩む「超一流への道」

2020年05月25日 21時32分

デアリングタクトの背でガッツポーズの松山。秋は大観衆の前で勝利をアピールしたいところだ

 24日、東京競馬場で行われた牝馬クラシック第2弾、GI第81回オークス(芝2400メートル)は圧倒的な1番人気に支持された桜花賞馬デアリングタクト(杉山晴)が優勝。1957年のミスオンワード以来、63年ぶりとなる無敗での牝馬2冠を達成した。名牝への道をひた走る同馬だが、鞍上の松山弘平(30)も充実の時を迎えている。レースを振り返りながらこの人馬の行く末を占おう。

 3コーナーまではほぼ完璧だった。「先行争いが激しくて1、2コーナーでは狭くなったり、ぶつかったりした」(松山)とはいえ、向正面では人馬ともに落ち着いて追走し、末脚をしっかりと温存。勝負どころから徐々に加速して直線を迎える。

「外めに出したかった」のは常識的なかじ取りではあるが、終始外からプレッシャーを掛け続けていたリアアメリア=川田が進路を明け渡すわけもなく、内側へ大きくパートナーを誘導し、ようやくギアチェンジに成功。見た目には追い出しが大きく遅れた感は否めないが、さすがは桜花賞をケタ違いの末脚で勝った馬。そこからは他馬が止まって見えるほどの瞬発力で、粘り込みを図るウインマリリンを半馬身かわしてゴールした。

「1番人気だったのでマークされる立場。実際、前半はタフな競馬になったなとみていました。それでもこの馬の一番の持ち味は強い精神力。向正面からは馬群の中で我慢できていましたし、3コーナーからはスッと動けましたから」

 安堵の口ぶりで振り返った杉山晴調教師は開業5年目で牝馬クラシック2冠制覇。重馬場(桜花賞)での激戦後でも体調を落とすことなく、絶好の気配で送り出した手腕も光った。

「テンションが高くなりがちなのでもう少し落ち着いて臨めるようになれば…。そう、お馬さんにお願いしておきます」

 次のターゲットはもちろん、10・18秋華賞。3歳牝馬3冠完全制覇へ向けて静かに言葉を結んだ。

 一方の松山は今年早くも7つ目の重賞制覇。キャリアハイのペースで勝ち星を量産中だ。とはいえ、前述したように今回の一戦に関してはお世辞にもきれいなエスコートとは言い難く、繰り返し繰り返し「馬に助けられた」と語ったように、自身としても満足のいく騎乗ではなかった。

 それは次の言葉にも表れている。「秋はさらに楽しみだし、さらに注目されていく馬。そこに自分がいられるように…そういったジョッキーになりたい」と勝利に浮かれる面は一切見せず決意表明した。

 いずれにせよ、一流ジョッキーは名馬とともにつくられる。最近は外国人ジョッキーに押され気味の日本競馬だが、久しぶりに和製での本物が誕生しつつあることを予感させた一戦であった。