【オークス】デアリングタクトはスピードとスタミナを兼ね備えた理想的なオールマイティーな体形

2020年05月22日 21時02分

ハイスペックなデアリングタクト

【オークス(日曜=24日、東京芝2400メートル)“智将”中村均元調教師の獣医学的馬体評定】オークスはこの時期の3歳牝馬にとっては大変過酷な舞台設定です。2400メートルの距離適性がない馬は、道中でスタミナを奪われ、直線で伸びるどころか、バッタリと止まってしまう。スピード&瞬発力全盛の現代日本競馬にあっても豊富なスタミナが必須。ここが勝負のカギになります。

 3歳牝馬限定の中長距離戦は少ないので当然、オークスに参戦するのもマイル前後に実績がある馬が多くなります。つまり、経験がない馬たちの見極めが重要。こういうときこそ、体形的にステイヤー、もしくはオールマイティータイプの馬を見抜く目が問われるのです。いわば当欄の本領発揮の場ですね。では、そのつくりからオークスに向きそうな馬を3頭紹介していきましょう。

 最も注目を集めるデアリングタクトはマイラー体形に近いオールマイティータイプです。しっかりとした長い首を持ち、肩の傾斜(52度)は緩やかで筋肉の発達も目立ちます。前肢は前方によく伸びるほうではありませんが、肩関節の柔らかさと上腕筋の強さからくる、かき込みの強さが特長で、なおかつピッチも速い。

 後躯も立派なトモをしていて、股関節が柔軟。さらに関節に付随する筋肉(三臀筋、大腿二頭筋、半腱半膜様筋)の発達が、深く踏み込むフットワークと強い蹴りを生み出し、力強くかつ速いピッチで駆けていきます。全体的に牡馬のようにふっくらしており、強靱そうで見事な体です。

 前述した通り、体形的にはマイラー寄りなのですが、この馬のポイントは大きな胸囲(胸腔)。ここから心臓&肺の大きさと、長距離を乗り切る持久力型の心肺機能が推測されるのです。スピードとスタミナを兼ね備えた理想的なオールマイティーと言えるでしょう。

 マルターズディオサは父キズナをふた回りぐらい小さくしたようなサイズ感で、体形は父そっくりです。肩および臀部の筋肉が適度に発達していますが、驚異的というほどではありません。肩傾斜は55度とやや厳しく、肩関節やつなぎ、そして肩の筋肉も柔らかく強そう。ピッチが速く、前肢はよく前に出ます。

 見てほしいのは腰幅。それほど大きくはなく、こういう形はある程度、距離が持つ。デアリングタクトよりもやや長めの距離にシフトしたつくりで、中距離寄りのオールマイティータイプと言っていいでしょう。

 最後に挙げるウインマリリンは2000メートルで全3勝。メンバーの中で最も長い距離で結果を残しているのが納得できるほど、完璧な長距離タイプです。

 全体的に細身で筋肉の張りも薄く、肩の傾斜は51度と滑らか。肩関節が柔らかいため、前肢が前によく出ます。股関節も同様に柔らかく、その可動域も広い。大きなストライドで走るタイプですが、無駄な動きをしないため、スタミナを大きくロスすることもない。これが大きいですね。

 鞍上がゴーサインを出してもピッチはそれほど上がりませんが、その代わりにストライドがさらに大きくなり、それによってグングン伸びていきます。後躯に付いている、一つひとつの筋肉や靱帯が強靱かつ伸縮性があるのでしょう。府中の坂のある長い直線で、他馬が伸びあぐねているのを尻目に、グイグイ脚を伸ばしてくるシーンが見えるようです。