【オークス】無敗の素質馬デゼル デビュー「71日目」最速Vへ陣営のしたたかな計算

2020年05月20日 21時33分

オークス史上、最少キャリアでの戴冠を狙うデゼル

【オークス(日曜=24日、東京芝2400メートル)デゼル密着隊】第81回オークスの最大の焦点といえば、桜花賞馬デアリングタクトの無敗の2冠なるか。しかし、無敗の戴冠を狙う馬はほかにもいる。フラワーC勝ちのアブレイズ、そしてスイートピーSの覇者デゼルだ。デビュー前から、その素質にほれ込んでいたデゼル密着隊が、この大一番にエントリーするまでの“裏事情”を漏れなく暴露。その無限の可能性に迫る――。

 既走馬相手にデビュー勝ちを決めたデゼルの2戦目は当初、フローラSが予定されていた。それを覆して翌週のスイートピーSに参戦――。そこには陣営のしたたかで綿密な計算があった。

「出走予定馬を見比べたとき、オークスにいい形で向かえるのはフローラSではなく、スイートピーSのほうだと感じました。もちろん、レーン騎手を確保できたことも大きかったのですが、一番の理由は相手関係です」と大江助手。

 ただし、ここでの相手関係は「勝ちやすい」という意味ではない。オークスでも好勝負を期待するレベルの馬であれば、どちらのレースに出ても勝って当然。ゆえにレース選択は別のところでの比較になってくる。

「フローラSにはスカイグルーヴがいたじゃないですか。結果はともかく、デビュー2戦の内容を見れば、あの馬を楽に行かせる形はまずいと誰もが思いますよね? 実際に今年のフローラSはペースが流れて、厳しい展開になったと思うんですけど、それをキャリア2戦目のデゼルに経験させたくはなかったんです」(大江助手)

 フローラSの1000メートル通過は58秒6。対照的にスイートピーSは61秒1のスローだ。そんな流れの中、デゼルは4角13番手、通ったコースも大外と厳しい状況にも思えるレース運びとなったが…。実はこれも戦前からのイメージ通り。前半は無理に行かせず、直線のみの競馬に徹するよう、指示が出ていたという。

「ディープインパクト産駒ですが、バネが利いた、柔らかい走りをするタイプではなく、むしろ硬さを感じるくらいの馬なんです。初戦に乗った武豊騎手も“フランスの馬みたいだね”と言っていたくらいで。母系(母アヴニールセルタンは仏2冠牝馬、母父ルアーヴルは仏ダービー馬)の影響が強いと感じています」

 その特徴が一番出るのがスタート直後なのだという。

「スピードに乗るまでの走りが小さいので、そこで無理はさせたくなかった。もちろん、最初から厳しいペースに乗せていっても対応できる力は持っていると思いますよ。でも、それをするのは本番前じゃない。序盤は無理をせず、段階的に走りを大きくして、直線でトップギアの競馬をしたほうが、オークスに向けた負担は小さいのではないか、と。おかげでレース後のダメージはほとんどなく、さらに状態を上げていくイメージで本番に持っていける。本当にいい前哨戦でした」

 勝つのは必然。だからこそ、より良い形で次走につながることを考える。そのうえでの選択がフローラSではなく、スイートピーS――。一般的には関西からの中2週は避けたいもの。ゆえに中3週のフローラSを選択する関西馬が多いのだが、今回のデゼルの選択は両レースの“質”までをも計算して出したものだったのだ。

 実を言うと、レーンは戦前の段階ではオークスウイークは空けて、次週の日本ダービーからの短期免許再取得を予定していたのだが、そのプランを変更してオークスでの継続騎乗を決断している。その翻意までをも計算に入れた騎乗依頼であったとするなら…。デゼルのフローラS回避→スイートピーS参戦が、今年のオークスの行方をすでに大きく変えてしまっていると言っていいのかもしれない。