【オークス】2戦2勝アブレイズは“競馬センスの塊” 陣営「体の心配なく調教できる」

2020年05月20日 21時30分

無傷V3での戴冠を狙うアブレイズ

【オークス(日曜=24日、東京芝2400メートル)栗東トレセン発秘話】私のトレセン本格参戦は、昨年のダービーウイークからだった。それまでにもごあいさつ等で何度かお邪魔はしていたが、オークス週は本社で引き継ぎ作業の真っ最中。「競馬記者」としては今回が“初オークス”となる。無観客での競馬開催、様々な取材規制など、今年の春は異例ずくめのトレセン生活だが、やはりオークスはオークス。普段とは違う緊張感に包まれている。

 そんな中、今年のクラシックのキーワードになっているのが“無敗での○○挑戦”だ。牝牡クラシック第1冠の桜花賞、皐月賞はデアリングタクト、コントレイルが制覇。このオークスにもデアリングタクトはそのまま無敗で出走するわけだが、他にも2頭の無敗馬(アブレイズ、デゼル)が参戦。今回もまた無敗馬たちがレースのカギを握るのだろうか? 私は担当として日頃からお邪魔している池江厩舎のアブレイズのもとへと急いだ。

 その歴代ラインアップを見ればキラボシのごとくGI馬が居並ぶ池江厩舎だが、意外にも牝馬のGI制覇は2015年のオークス&秋華賞馬ミッキークイーンのみ。今回話をうかがった、アブレイズを担当する斎藤助手は、そのミッキークイーンを担当していたことでも知られる人物だ。

 大抵の牝馬は若い時期はカイバ食いが悪く、体づくりに苦労させられるらしい。ミッキークイーンも例外ではなく、プラス4キロで出走したオークス制覇時、池江調教師は真っ先に担当助手へのねぎらいを口にしたと聞いている。当時の斎藤助手は相当、苦労したのだろう。

 その点、アブレイズは「牝馬にしてはカイ食いがいいので体の心配をすることもなく調教ができる。実際、体もフックラと見せているでしょ。調整はしやすい馬ですね」と。ミッキークイーンとはだいぶ異なるキャラのようだ。

 先週のサウンドキアラの取材でも実感したが、やはり競馬も他のスポーツ同様、体づくりが基本中の基本。そこに苦労がないのは大きなアドバンテージになる。

 とはいえ、アブレイズはまだキャリア2戦の3歳牝馬。「普段はけっこうイレッポだし、前進気勢も旺盛なんですよ」と斎藤助手は言う。それでも「怖がりなのがいいほうに出るのか、ゲートをポンッと出て、スタートが決まるんです。そのうえで道中もしっかりと折り合えますし」と、実戦ではすべてがうまく回ってしまう。これこそが「競馬センス」なのだろう。

 新馬勝ち直後に挑んだ前走のフラワーCは12番人気での勝利。その評価の低さについては斎藤助手も少々不満だったようだが、今回は堂々の重賞ウイナーとしての参戦。

「距離が延びるのは大丈夫だとは思うけど。こればかりはやってみないとわからない」

「GIだと相手関係がガラッと変わるからね。経験も浅いし、まだまだこれからの馬ですから」

 斎藤助手がこちらの振りに対して慎重な物言いを崩すことはなかったが、その口調からはオークス馬を育て上げた経験からくる、重みのようなものがひしひしと感じられた(ような気がする)。

 実は私が担当としてお邪魔するようになってから、池江厩舎からは1頭のGI馬も出ていない。記念すべき“初オークス”で、(担当になってからの)“初GI馬”が誕生となれば、こんなに素晴らしいことはない。厩舎の発展には全く寄与していない身ながらも、一人で勝手に盛り上がっている今日このごろなのである。