【ヴィクトリアM・後記】大楽勝のGI・7冠アーモンドアイ 秋GIで豪華夢対決だ

2020年05月18日 21時34分

2着争いを尻目に楽々とゴールを駆け抜けたアーモンドアイ(右)。次元が違う勝ちっぷりだった

 ゴールまで流して4馬身差の大楽勝。GI第15回ヴィクトリアマイル(17日=東京芝1600メートル、牝馬限定)は、断然人気のアーモンドアイ(5歳・国枝栄厩舎)がシンボリルドルフ、ディープインパクトなどに並ぶ国内外芝GI最多タイとなる7冠目を馬なりで手中に。牝馬同士ではまるで勝負にならない圧巻の走りで“負のスパイラル”を払拭した。現役最強を改めて見せつけた走りの先に見えてきたのはさらなる高み。心身の成長を高らかに示した一戦を振り返る。

 ルメールの手綱がわずかに動いたのは、馬なりで先頭に立ったラスト1ハロンからほんの数メートルほど。右後方に離れる一方の馬群を確認し、次に左後方を見て流してゴール。レコードに0秒1届かなかった勝ち時計=1分30秒6はご愛嬌か。終わってみれば〝何もしないで〟4馬身差。今年初戦の舞台は、香港回避から続いた〝負のスパイラル〟を断ち切るアーモンドアイの独壇場だった。

「レースプランはスタート次第の馬。ゲート内でチャカチャカしたけど、今日はタイミング良く出てすごくいいポジションを取れました」

 ルメールの言葉通り、ゲートが開いてトレードマークのシャドーロールが真っ先に出た時点で勝負は決まっていた。レースは前後半4ハロン45秒6→45秒0のよどみないラップ。その流れを5番手で追走されては他馬はお手上げだ。

「今日はパドックからスタートまですごくいい感じ。大人になって静かでしたし、道中もリラックスしてとても乗りやすかった。ずっとマイペースで走ることができた。これなら負けない」とルメール。

 流れにさえ乗ってしまえば脚力の差は歴然。ゆえに鞍上がポイントに挙げたのも、直線に向かうまでの走りだった。考えてみれば、有馬記念の9着惨敗も今回の圧勝劇もすべては表裏一体なのだろう。競馬にいって負けじと走るメンタルの強さ。それを御すことさえできれば、JCのレコード制覇が示す通り距離を問わず無限の可能性が広がっていく――それがアーモンドアイという馬だ。

「装鞍所で時々すごく暴れるが、今日はパドックも馬場入りもすごくリラックスしていた。ゲートの立ち遅れだけ心配だったが、ポンと出て鞍上と滑らかに折り合って走っていたので安心して見ていられた」

 この日の様子をこう伝えたのは管理する国枝調教師。もちろん無観客競馬がプラスに働いた可能性は否定できない。

 ただ、同じドバイ帰りのラヴズオンリーユー(7着)との明暗は、開催中止にも動じなかった精神面の成熟度の差でもある。

「今日は暑いので(レース後の熱中症を)心配したが、今までよりずっと楽で尻っぱねをするくらい元気があった」(同師)との言葉も心身の成長を物語るものだ。

 この日の勝利でシンボリルドルフ、ディープインパクトなどが持つ芝GI最多タイとなる7勝目(海外含む)。「安田記念はビッグレースです。今年はリベンジしたい」と目標を口にした鞍上と異なり、陣営は次走の明言を避けたが…。

 今あえて期待したいのは、そこを超えたさらなる高みだ。新型コロナウイルス禍により海外遠征の見込みが立たない現状ゆえ、秋のGI戦線はサートゥルナーリア、コントレイルを含めたオールスター戦になる可能性を十分に秘めている。その“超豪華バトルロイヤル”で、改めて日本のエースたる力量を示す姿を、おそらく多くのファンが期待している。