【旭堂南鷹のビンボー講談師に明日はない】ヴィクトリアM ダノンファンタジーにオーラ見た

2020年05月16日 18時00分

【旭堂南鷹のビンボー講談師に明日はない】子供の時から大好きだった、KBS京都の久保房郎アナウンサー。包容力のある声で、視聴者からのハガキを読む「思い出のあの馬」のコーナーが僕を競馬の深みに誘ってくれた。ヴィクトリアマイルには、そんな久保さんの思い出がある。

 2010年まで続いたKBS京都の競馬中継で、僕は5年間メインキャスターとして共演させていただいた。とにかく競馬ファンのかがみで、全レースを買う。パドック派だから前売りでは買わない。本番で話しながら、カメラに映らない左手でケータイから馬券を買うのだ。

 そんな達人にも一度だけ失策があった。久保さんは大のウオッカファンで、彼女が走る日はいち競馬ファンのように心が弾んでいた。08年のヴィクトリアマイル。前年ダービー優勝後のウオッカは取消、大敗、海外遠征と低迷が続き、陣営はこの一戦で勝利の味を思い出させたかった。だが、ウオッカは2着に敗れる。

 その瞬間の久保さんの落胆ぶりは尋常ではなかった。放送ではケータイを落とす、言い出しをトチる、馬名を読み間違えるなど動揺が半端なかった。いつも助けてもらってばかりだった僕が唯一、久保さんをフォローした時でもある。

 古い話を持ち出して何が言いたいかといえば、この時のウオッカと今回のアーモンドアイの過程は流れの悪さという意味で似ているということだ。いかなる名馬でも、一度崩れたリズムを取り戻すのは並大抵のことではない。今回は押さえまで。

 春前に帰厩間もないダノンファンタジーを見た時、これまでに感じなかったオーラが見えた。ヴィクトリアマイル向きの素軽さもある。ここは買いだ。

◎ダノンファンタジー
○サウンドキアラ
▲ラヴズオンリーユー
△アーモンドアイ
△シゲルピンクダイヤ

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「旭堂南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。