【ヴィクトリアM】サウンドキアラは典型的なマイラー体形

2020年05月15日 21時01分

マイラーらしい特徴が出ているサウンドキアラ

【ヴィクトリアマイル(日曜=17日、東京芝1600メートル)“智将”中村均元調教師の獣医学的馬体評定】ヴィクトリアマイルには他のマイル重賞にはない、大きな特徴があります。それはマイラーばかりが出てくるわけではなく、1200メートルや1400メートルを主戦場にするスプリンターから、2500メートルを走るステイヤーまで、多種多様な馬が集結してくることです。古馬の牝馬にとって上半期のGIはこのレースだけですし、牝馬のオープン馬の数が少ない側面もあり、こういう特徴が出てくるのでしょう。

 牝馬は牡馬のように体つきがはっきり分かれてはおらず、全体的に細めで、スプリンターかステイヤーの区別すら、つきにくい場合もあります。中にはスプリンターであっても、牡馬のような大きな骨格や筋肉を持っていない馬も。そういうわけでなかなか判定が難しいのですが、今年の出走馬の中から体系的に3つのタイプの馬を挙げ、それぞれを「評定」してみたいと思います。

 サウンドキアラはこれまでの全7勝のうち5勝がマイル戦で、目下マイル戦2つを含む重賞3連勝中。まさにマイルの申し子と言っていい成績です。ディープインパクト産駒ですが、肌がアグネスデジタルなので、全体的にやや硬めのつくりになっています。詰まり気味の体形で、体長が短く、体高も低い。いわゆる「典型的なマイラー体形」ですね。

 首や背中は短く、肩や腰の筋肉はよく発達しています。つなぎや肩の傾斜(54度)もきつく、やや硬め。肩と前肢の出が少し悪いのですが、背中の柔らかさと伸縮性、前肢の発達した筋肉で速いピッチを生み出しています。そのうえ後躯の強い蹴りがあり、これが馬体をより遠くに押し出すわけです。スタート直後にスッと好位に取りつくセンスと、追われてからの伸びの良さはここから生まれているのでしょう。

 直線では後躯の動きに注目してください。外ヨロ(大腿二頭筋)と内ヨロ(大腿薄筋、半膜様筋)の筋肉が強く働き、ここからディープ産駒特有のビックリするような瞬発力が発揮されます。

 対してラヴズオンリーユーは「ステイヤー体形」。全体的に体長が長く、首や手脚も長め。背中は短くてバランスもいいですね。肩の傾斜(51度)が滑らかで背中、各関節、つなぎが柔らかい。肩の筋肉は多くはないのですが、その分、伸縮性があります。

 スタートから伸びのいいモーションで走るので、ダッシュ力はやや弱いのですが、加速すれば大きなストライドで余裕を持って追走できます。瞬発力に秀でているとは言えなくても、それを補って余りあるほど、長くいい脚を使えるのがこの馬の特長ですね。テンのラップがオーバーペース気味になれば、こういったタイプでも東京マイルなら十分に対応できます。

 最後に挙げるのがアーモンドアイ。これは「オールマイティー型」と言うべきでしょうか。父ロードカナロアの卓越したスピードと、肌のサンデー系の器用さがうまくミックスされた、日本のナンバーワンホース。さすがに体つきも理想的で、欠点は見当たりません。

 肩傾斜(50度)の滑らかさが前肢の伸びをうまく生み出していますし、肩関節、背中も短く柔らかい。そして目に付くのが、肩の上腕三頭筋の素晴らしい発達です。後躯の形も理想的で、飛節も真っすぐ伸びる。後肢のつなぎは柔らかく、長さもあって、かつ強靱そうです。

 一般的に前肢の伸びが悪い馬でも、後躯の強さで補って、結構走る馬がいるのですが、この馬は前もよく伸びて力強くかき込み、さらには後躯の蹴りが並外れているのです。言ってみれば四輪駆動のスーパーカーのような存在。有馬記念の時のように状態が完調に届かないというようなことがない限り、雲の上を飛ぶペガサスのように、走行性能の高さで他馬を圧倒してしまうのではないでしょうか。