【NHKマイルC・後記】ラウダシオンをVへ導いたミルコの神手腕

2020年05月11日 21時32分

1番人気レシステンシア(左)を徹底マークのM・デムーロ=ラウダシオンはドンピシャのタイミングで

 10日、東京競馬場で行われた3歳マイル王を決める第25回NHKマイルカップ(芝1600メートル)は、2番手追走から直線途中で抜け出したラウダシオン(牡・斉藤崇)が優勝。重賞未勝利、かつマイル戦でも勝ち星がなかった9番人気の伏兵が成し遂げた大仕事。その背景にはいったい何があったのだろうか?

 極めて逆説的ではあるが、ラウダシオンにとって最大の勝因は逃げ馬が「強い1番人気馬」であり、かつ「最もうまいジョッキー」が乗っていたことかもしれない。

 1週前、そして最終追い切りの手綱を取り「レースの映像を何度も見た」というM・デムーロは、テン乗りでもパートナーの特性をしっかりと把握していた。「スタートはしっかりと出てくれますね。そしていつも一生懸命に同じペースで最後まで走ってくれるタイプ」とジャッジ。年明け2戦は1、2着ながら、自身がマークした上がり3ハロンはともに出走馬中5位。格段に切れる脚はない半面、スッと好位を確保できるレースセンスが堅実な結果の源だった。

 しかし、3回の重賞挑戦は2着が最高。ましてGI朝日杯FSでは1秒0差8着の完敗だけに、マイル戦でのGI制覇は難しいと思われたが…。

 まさに“格好の目標”となったのがレシステンシア=ルメールの存在だった。1分32秒7とメンバー最速の持ち時計を誇り、かつマイル3戦がGI~GIIで1→3→2着と大崩れは皆無。もちろん最強のペースメーカーも暴走ラップを刻めば単なる“ラビット”になり下がるが、JRA同期でもあるライバルの手綱ならばその心配は不要だった。

「馬場状態からも後ろからでは難しいと感じていたし、いい位置が取れました。さすがクリストフ(ルメール)です。ばっちりペースをつくっていましたし、本当にいいターゲットになりました」

 道中は2歳女王をマークする形で2番手をがっちりとキープ。そして直線での攻防は意外にあっさりと決する。残り400メートル地点で外に並んだ時に手応えの差は歴然。余力十分に競り落とすと、1馬身半のセーフティーリードを築いて先頭でゴールを駆け抜けた。

「手応えは抜群でしたし、向かい風も問題なかったですね。内心、自信を持っていましたし、楽勝でした」

 昨年のアドマイヤマーズに続く連覇となった鞍上は、実力通りの結果と言わんばかりだ。

「体重こそ大きく変わりませんが、一戦ごとにたくましくなり筋肉がついてきました。どこかで大きなところを勝てるとは思っていましたけど、今回とは…。やはり味方にするとミルコは頼もしいですね」とは斉藤崇調教師。クロノジェネシスで臨んだ先のGI大阪杯(2着)ではラッキーライラックに苦杯をなめさせられたこともあり、大舞台に強い鞍上への賛辞を惜しまなかった。

 具体的なプランは未定だが、今後もマイル戦を主体としたローテが濃厚。現3歳世代が初年度となる父リアルインパクトは11年の当レースが3着止まりだった。早くも父超えを果たした快速馬が近い将来、古馬も含めた統一マイル王に君臨する可能性は決して小さくない。