【天皇賞・春】フィエールマン“ステイホーム”で見えた天皇賞・春連覇

2020年04月28日 21時31分

史上5頭目の天皇賞・春連覇に挑むフィエールマン

【天皇賞・春(5月3日=日曜、京都芝外3200メートル)注目馬最新情報:美浦】春のGIシリーズがいよいよ再開。日曜の京都競馬場では伝統の第161回天皇賞・春が行われる。年明け初戦にこのレースを選んで勝った馬は戦後、一頭もなし――。そんな暗黒データもどこ吹く風で、昨暮れの有馬記念(4着)以来の一戦に挑むフィエールマン陣営は、史上5頭目の天皇賞・春連覇に自信満々だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大に自粛を余儀なくされるのは、人間社会に限った話ではない。いま海外の競馬主要国でレースを施行しているのは米国の一部と香港、オーストラリアくらい。世界では多くのサラブレッドが“ロックダウン”の渦中にある。むろん日本でも今春にドバイ国際競走を目指したエリートホースも、コロナ禍に見舞われた被害者と言えるかもしれない。

「個人的にはドバイ(シーマクラシック)出走を熱望した時期もありましたが、結果的には国内専念が正解だったかもしれませんね。舞台がどこであれ、馬にはストレスなく調整できることが何よりですから」

 こんな言葉で“ステイホーム”の意義を伝えるのは、昨年の天皇賞・春を制したフィエールマンの名畑助手。凱旋門賞で苦杯(12着)を喫した経験があるだけに心情が伝わってくるが、専念の矛先はもちろん、キタサンブラック(2016→17年)に次ぐビッグタイトルの連覇である。

 昨年の有馬記念を4着に終わった同馬が、放牧先のノーザンファーム天栄から美浦に帰厩したのは、レースから1か月前の4月3日。当初はかなり余裕があった馬体も、南ウッド7ハロン94・5秒の猛調教を課した2週前(4月15日)からずいぶんとすっきり見せるようになった。約3か月半ぶりの菊花賞制覇が示す通り、元来が鉄砲の利くタイプ。管理する手塚調教師も大きな期待を隠さない。

「2週前にかなりビッシリやったので反動がどうかと思ったけど、いい意味でスイッチが入った感じだね。海外遠征明けだった有馬記念時よりも状態はずっといいと思う。その前走にせよ、アーモンドアイを負かしに行く4角4番手の横綱相撲。前と後ろがゴールですっかり入れ替わった追い込み有利の展開を思えば、内容の濃い4着だから。メンバー的には今年も十分チャンスがあるんじゃないかな」

 とはいえ、懸念される材料もある。それは1週前追い切り(22日=南ウッド5ハロン65・8―36・6―12・4秒)で速い時計をマークしたが、走る気持ちが強いあまり、先行馬を抜いてしまってまともな併せ馬にならなかった点。昨年の天皇賞・春で最少キャリアV(6戦目)を決めた天才肌とて、折り合いが難しくなれば偉業達成は決して楽ではないからだ。

「確かにずいぶんと走りに前向きさは出ている。とはいえ菊花賞時も稽古でかかったが、実戦では問題なかった。それに左回りで追い切ったのは、この馬にとってデビュー以来初めてのこと。左手前のほうが走りやすい印象だし、最終調整さえうまく持っていければ」(手塚調教師)

 5歳馬ながらキャリアはわずか9戦。サラブレッドとして最も脂が乗るのが今シーズンであることは想像に難くない。まずは史上5頭目の連覇を皮切りに、陣営は古馬のエースの座まで狙う意気込みだ。