【フローラS】ホウオウピースフルが“桜花賞を捨てた”理由

2020年04月22日 21時32分

時間をかけたことで軌道に乗ってきたホウオウピースフル。いよいよ勝負の時が来た

【フローラS(日曜=26日、東京芝2000メートル=2着までに5・24オークス優先出走権)POGマル秘週報】牝馬クラシック第1冠の桜花賞は、デアリングタクトが実に40年ぶりとなるキャリア3戦目での戴冠となった。一昨年にアーモンドアイが年明けのシンザン記念から桜花賞を制し、既存のトライアルを使う論理性が失われつつある、と当欄では何度も指摘してきた。

 今年の同馬は本番へのレース間隔(2か月強)はもとより、オープン特別(エルフィンS)からという意味ではアーモンドアイ以上のインパクト。ましてや同馬の勝ちっぷりが文句なしだったことは言うまでもない。

 だとすると、桜花賞に出走していない、セオリーからすれば亜流とされる別路線組も違った角度で能力などを分析する必要があるのではないか。

 今週末のGIIフローラSは“桜花賞を捨てた”馬たちの戦い。今年はともに前走が重賞2着のスカイグルーヴやレッドルレーヴを中心にかなりハイレベルな組み合わせ。桜花賞組との単純なレベル比較でも決して見劣らない様相だ。

 中でも当欄はホウオウピースフルに最注目。一般的にオークスに向けた分析では、2400メートルの距離への適性が当然ながら一定以上の重要性を持つ。一方で施行時期が約1か月半ほど早い桜花賞には、馬体の成長や獲得賞金の両面で“間に合わなかった”という側面もある。

 同馬は8月の札幌デビュー(1着)で、時間的には十分に桜花賞を狙える立場だったことは強調しておきたい。その新馬戦ではミヤマザクラ(クイーンC=1着→桜花賞=5着)を4着に退けてもいる。

 大竹調教師は前走のクイーンCで6着に敗れ、オークス路線にかじを切った理由などを次のように説明した。

「気性を考えるとマイルは合うと思ったんですが、結果的に短かった。全然ついて行けなかったですからね。千八、二千くらいのほうが合っている様子。まだ気持ちのコントロールがつかなくて(調教中に)突然走りだしたり、急にピタッと止まったりするんです。(成長が)狙い通りかと言えばまだまだ。課題はあります」

 話は記者が本紙・正月特別号の特集で大竹調教師にインタビューした昨年12月にさかのぼる。デビュー2連勝で百日草特別を制した後も在厩調整を続けた同馬は、2歳女王を決めるGⅠ阪神JFに出走するのではないかとの臆測も流れたが、同師はあっさりと否定。その理由にカイバ食いの細さ、気持ちのコントロールの難しさを挙げて「まだ手の内に入ってこない」。在厩を続けたのはレース後の回復や気性の変化を見極めるためだったそうだ。

「時間(の経過)が薬になる」と同師。2歳夏のデビューで一定の肉体的完成度、成熟度がありながら、あえて急がせずに調整を続けてきた。その流れの過程だったから、マイルの距離への見切りにも迷いはなかったのだろう。半兄の有馬記念馬ブラストワンピースとの比較に対する師の回答にも変化が出てきた。

「ブラストは牡馬で細やかさがないけど、こっちは牝馬で乙女って感じです。似てはいないんですが、ここにきてカイバを食べられるようになってきた。そこに関しては似てきたかもしれません。おかげで調教は思い通りにできています」

 食欲旺盛の兄は放牧から帰るたびに馬体重を絞るのに苦労してきた。一方で繊細さから調教内容を求め過ぎるとテンションが上がってしまう懸念のあった妹は、少しだけ兄に似た面が出てきた。これは好材料と言える。前走時12キロ増という馬体重もいい傾向だそうだ。

「東京の2000メートルは1回勝っている舞台だし、当時はすごいスローでしたからね。まだ目先の競馬しか考えられませんが、いい馬場で走らせてもらえれば」と大竹調教師。冒頭の桜花賞馬は桁違いに強い。ただ、いやが応にも迫りくる春の頂上決戦・オークスに参戦するなら、その前にひとつ、答えを出さなければならない。