【旭堂南鷹のビンボー講談師に明日はない】桜花賞 エルフィンS衝撃Vのデアリングタクト

2020年04月11日 18時00分

【旭堂南鷹のビンボー講談師に明日はない】ビンボーに強すぎるせいか、若手のころに長期のバイトをした試しがない。もちろん、水道さえ止められるのも珍しくはなかった。それでも、博打と酒を欠かさずに暮らしてこられたのは、神に愛されているおかげだと思う。

 毎朝、毎夜、鉄製のドアを激しくノックされて、しゃがれ声の大家のじいさんが「いるのは分かっとるんやから出てこんかい!」と怒鳴っていた。静まったと思って外に出ると「月曜期限。火曜朝強制退去」と乱暴に書かれた張り紙がしてあった。

「大丈夫。明日は桜花賞だ」

 そう言い聞かせて、安物の着物を小脇に質屋へ走ったが…。火曜の朝、僕は家なき子になっていた。ローブモンタントに着物代を賭けて、スッカラカンになった。それでも路頭に迷わなかったのは、貧乏神の守護に違いない。

 ローブモンタントのエルフィンSの勝ち方は鮮やか。きっと結果が分かっている今でも、同じ馬券を買うと思う。それくらい強かった。そのエルフィンSでローブの衝撃をはるかにしのぐ勝ちっぷりを見せたのがデアリングタクト。杉山晴調教師も「強いと思います」と能力への自信を隠さない。調教師のコメントとしては珍しい率直な言葉だ。

 父エピファネイアは馬体も醸し出す空気も人間を威圧していたが、この娘はそれを気品に変えつつも気位の高さは父譲り。競馬での前進気勢も受け継いでいるようで、果たして制御が利くのかどうか。長めを追われた1週前のウッドでは、最後まできっちりと脚を伸ばした。現時点では問題ない。

 穴はヤマカツマーメイド。前任の腕利き・土屋助手が「来年はこの馬やで」と予見していた。この人の目に狂いはない。前走を叩いた上積み必至。不当に人気のない実力馬を必中の穴と推す。

◎デアリングタクト
○ヤマカツマーメイド
▲リアアメリア
△レシステンシア
△マルターズディオサ

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「旭堂南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。