【大阪杯】クロノジェネシス&ラッキーライラックは歴史的名牝リスグラシューの後継者に成り得るか

2020年03月31日 21時31分

陣営が理想とした馬体に成長しつつあるラッキーライラック(右)と馬体重アップに比例して力をつけているクロノジェネシス

【大阪杯(日曜=4月5日、阪神芝内2000メートル)特捜班】新型コロナウイルスの影響で史上初の無観客GIとなった高松宮記念だったが、前年比100・4%(127億134万8200円)と売り上げが上昇した。コロナにも負けずに大盛り上がりを見せたJRAは今週末にGI大阪杯が行われる。その中で注目は牝馬2頭だ。近年は牡馬相手でも牝馬が堂々と主役を張る時代が来て久しいが、昨年のJRA年度代表馬リスグラシューは過去のイメージに反して“成長過程”を描き、歴史的名牝へとステップアップを果たした。そして同馬の路線を継承しそうな2頭の牝馬がスタンバイ。クロノジェネシス、ラッキーライラックの可能性を探った。

 宝塚記念→豪コックスプレート→有馬記念と国内外のGIを3連勝して昨年暮れに引退したリスグラシューはそのパフォーマンスもさることながら、すでにピークを迎えていたはずの5歳牝馬が、そのイメージを大きく覆す成長を見せたという意味で競馬関係者に大きなインパクトを与えた。

 昨年の有馬記念前に北口厩務員が「(リスグラシューの)横にいる馬は500キロくらいある牡馬やで。でも、鞍の位置がまるで変わらへんやろ? オーストラリアから戻ってきて、まだ背が伸びとる。こんな馬、見たことがないわ」としみじみ。確かにそうだ。見たことがない。432キロでデビューした同馬はスケールアップして有馬記念は468キロでの出走だった。

 2歳夏にデビューした牝馬がイメージとは対極の晩成傾向を示し、馬体重を増やしながら成長していく。例えば、昨年の秋華賞を勝ったクロノジェネシス。この馬のデビューは2歳夏の小倉で当時は440キロ。しかし、食いが細く、長距離輸送もあったオークスでは432キロまで体を減らした。だが、そんな同馬も前走の京都記念では460キロにボリュームアップ。パワーが必要な馬場を難なくこなした前走の結果もここに理由があった?

「帰厩段階での馬体が緩く、何とか間に合わせようと思いながらの調整だった秋華賞も20キロの大幅な体重増…。実は春との違いをあまり感じなかったんです。でも、前走時は違いましたね。キャンターに乗っただけで以前とのパワーの違いを感じました」

 担当の和田助手はこう話す。単純に馬体増=パワーアップではないようだが、2歳夏デビューの牝馬がイメージにない成長力を見せているのは事実。牝馬は牡馬よりも完成が早く、逆に成長力で見劣るイメージは過去のものになりつつあるのか?

「昔はそうだったかもしれないですけど、現在の走る馬に早熟っているんですかね? 確かに早い段階でデビューはしますが、成長させるためにレース間隔を空け、放牧も挟んで調整していくじゃないですか。牝馬も牡馬と変わらない使い方ですからね」と同助手。以前とは違うアプローチに理由がある、と考えているようだった。

 惜敗続きのキャリアを4歳秋のエリザベス女王杯で打破。年末の香港ヴァーズ2着を挟み、年明けの中山記念も2着。リスグラシューに酷似した成績を残すラッキーライラックもデビュー時から40キロほどボリュームアップを果たしている馬だ。

「そもそもの骨格があって、そこに筋肉がついていくわけじゃないですか。現在のラッキーライラックは、2歳の時に“ゆくゆくはこんな感じの馬になっていくだろうな”と思った馬体になっています」。同馬とすでに2年半の付き合いとなる担当の丸内助手。リスグラシューのような“予期せぬ確変”ではないものの、牡馬と変わらぬアプローチが成長を生むという発想はこちらにもある。

「牝馬限定のレースに合わせるという発想がなくなってきてますよね。昨春は結果を出したいので牝馬限定のヴィクトリアマイルに…という予定だったから、中山記念(19年2着)の前からスピードに乗せるための調教をしていました。でも、現在は馬のほうに比重を置いた日程、調整ができるようになっているじゃないですか。(前走の)1800メートルの距離を走るには少し微妙かな…と思っていても、その後のことを考えてウッドでの調整を継続。このようなことの積み重ねが大きいと思うんですよ」

 牝馬の枠にとらわれないレース選択と調整過程が名牝を生む秘訣であるのなら、今後も牡馬と互角以上に走る牝馬が誕生し続けるはず。現段階では絶対的な女王ではない2頭の牝馬も年末には大化けしているかも…。もちろん、そのトリガーとなるレースは今回の大阪杯。新たな名牝誕生の瞬間を期待したい。