女帝への道切り開いたグルヴェイグ

2012年06月20日 12時00分

 17日に阪神競馬場で行われたGⅢマーメイドS(芝内2000メートル)は、超良血グルヴェイグ(牝4・角居)が快勝。人気馬受難のハンデ重賞(06年以降)で初めて1番人気に応えた。これで一躍、古馬牝馬戦線の中心馬へとのし上がったが、この飛躍の要因はどこにあったのか? 関係者の証言から探る。

「小柄な牝馬だけど、強いハートを持っている」

 勝利に導いた鞍上ウィリアムズのこの言葉が、超良血馬の本格化を端的に表現している。

 陣営が懸念していた道悪は回避できたとはいえ、この日の阪神は力のいる馬場。しかも一貫して緩みのないラップで、勝負どころでは各馬の手綱が激しく動く消耗戦。道中包まれていたグルヴェイグは、直線入り口で外のマイネエポナをはじき飛ばして馬場の真ん中を確保した。ライバルを蹴散らして早々と勝負を決めた荒々しい姿は、鞍上が指摘する〝牝馬らしからぬ〟闘志に他ならない。

 最後の敗戦となった2月の琵琶湖特別(7着)は、開催最終週の悪い馬場(稍重)で失速。当時と対照的な姿へと変貌を遂げたその裏には、強い精神力に応える肉体面の進化があった。

「今も残ってはいるが、右前のさばきの硬さが解消されつつある。壊れないように、成長を待ちながら、レースの手前、手前で休みを入れてきたんだ」(角居調教師)

 爪に不安を抱えていた同厩の半兄ルーラーシップも適度に間隔を空けたローテーションの末、5歳春に海外GⅠを手にした。歯車がキッチリかみ合うまで陣営は泰然自若の構えを貫く。それによって良血馬を素質開花へ導いた歴史がある。

 今後は秋まで休養して、GⅠエリザベス女王杯(11月11日=京都芝外2200メートル)を最大目標に見据える。「この血筋はどんどん成長していく。もっと強くなるのを夢見ていますけど」と語る角居調教師の言葉も決して願望だけではない。

 母エアグルーヴ(97年)、姉アドマイヤグルーヴ(04年)も制した真夏の女の戦い。そんな因縁のレースが女帝への道を切り開く、大きなターニングポイントとなったのは間違いあるまい。