【フィリーズR・後記】エーポス波乱の重賞初V 善戦馬が覚醒した理由

2020年03月16日 21時31分

岩田康=エーポス(左)は十八番のイン差しをズバッと決めた

 15日、阪神競馬場で行われたGIIフィリーズレビュー(芝内1400メートル=3着までに優先出走権)は5番人気のエーポス(北出)が4戦目で重賞初制覇を飾った。

 人気を集めていたヤマカツマーメイドが直線で満を持して抜け出したところで勝負あり――。誰もがそう思った瞬間でのゴール前の大逆襲だった。一瞬は勝利を確信したであろうコンビに、馬体を併せに行く隙さえ許さず、鮮やかに差し切ったのは池添のお手馬でもあったエーポス。これぞ岩田康の真骨頂と言えるイン突きはテン乗りでの代打逆転ホームラン。堂々と桜切符をもぎ取った。

「初めて乗せていただいたんですが、狭いところにも入っていく勝負根性を見せてくれました。カリカリした感じの女の子に見えても実はそうでもない。ペースが速いとみて3コーナーで一旦抑えると、そこでうまく息を入れることができました。あとは人気馬を見ながらいい感じで運べて、最後まで脚を残すことができた。クラシックの舞台でも頑張ってくれると思います」。岩田康は渾身の騎乗に応えたパートナーに改めて賛辞を贈った。

 新馬勝ち後は善戦止まり(白梅賞=5着、エルフィンS=4着)だったエーポスが、なぜ重賞の舞台で覚醒できたのか。「トモの甘い馬だからゲートをポンとは出れないけど、前も飛ばしてくれたからね。中団あたりの位置で、ちょうどいいと思った。岩田ジョッキーで5番枠なら今日のような競馬になるイメージはあったし、うまくためを利かせてくれた。まだ緩い体でもこういう競馬ができるのが、この馬のすごいところだと思う」と北出調教師。不発だった近2走で違ったパターンの競馬を経験し、学習したことが一発勝負のトライアルで実を結ぶのだから競馬は面白い。

 最内枠を引いた1番人気の快速馬カリオストロが迷いなく逃げたことで3ハロン通過は33秒4(後半3ハロン36秒0)という典型的な前傾ラップになったが、1着から7着はすべて7番枠以内で外から差し込んでくる馬は皆無。内を通らないと勝負にならない馬場状態が、そのまま着順に反映された点は否めない。

 しかし、エーポスに関しては「速い調教タイムは出ていても、まだ背腰は弱いし、本当に良くなるのは夏を越してからだと思っている馬。その段階でクラシックの権利を取ってくれるんだから、これからの成長が本当に楽しみ」と北出調教師。

 成長途上の段階であれだけの瞬発力を発揮できたのなら、このコンビの無欲のイン突きが、本番でも炸裂しても何ら不思議はないだろう。