【サウジC】クリソベリル 11億円争奪へ音無調教師が明かす「世界の壁突破」戦略

2020年02月26日 21時32分

無敗の7連勝で世界制覇を目指すクリソベリル

【サウジカップ(29日=日本時間3月1日未明、キングアブドゥルアジーズ競馬場=ダート1800メートル)】世界最高峰の1着賞金1000万ドル(約11億円=総賞金約22億円)をかけて争われるサウジアラビアの新設レース、サウジカップがいよいよ今週末に開催される。日本からはクリソベリル(牡4・音無)とゴールドドリーム(牡7・平田)が参戦。砂王ツートップの奮戦が期待される。特にデビューから6連勝で昨年の最優秀ダートホースに輝いたクリソベリルの可能性は無限大。世界の壁をも打ち破り、無敗街道を突き進むのか。管理する音無秀孝調教師(65)の世界戦略と野望に迫った――。

 ――1着賞金はなんと11億円。とてつもないビッグレースが目前に迫った

 音無:記念すべき第1回のレースということもあり、オーナーサイドはどうしても出走させたかったみたい。日本での馬券発売はないけど、多くの人が気にかけてくれているし、日本代表として恥ずかしくない競馬をしたいと思っているよ。

 ――今回が最初ということもあり、同じ中東のドバイよりも情報が圧倒的に少ない

 音無:正直、それに関しての不安はある。自分たちだけでなく、今まで日本の馬が走ったことのない場所へと行くわけだから。ただ、そんな状況でも、できる限りの情報収集はしてきた。マーフィー騎手はサウジアラビアの競馬場を知っているから、彼の通訳を介して話を聞いたりね。向こうの馬場はドバイのダートに近いらしい。

 ――それは日本よりもアメリカの馬場に近いということか

 音無:ドバイは日本とアメリカの中間…なんて話も聞くけど、日本のダートは“サンド”と表現すべき特殊な馬場。実際、ダートで行われたドバイWCでは日本馬が苦戦しているわけだし、日本のダートしか走れない馬では厳しいかもしれないな。

 ――クリソベリルもまだ日本のダートしか走っていない

 音無:確かに自身はダートでしか走ったことがないけど、半姉のマリアライトは芝のGIを2勝(2015年エリザベス女王杯、16年宝塚記念)。あの馬は父がディープインパクトなので例外に思われるかもしれないが、例えば僕が管理したリアファル(父ゼンノロブロイ)はダートデビューながら、芝の重賞(15年神戸新聞杯)を勝つ馬になった。

 ――この母系は様々なタイプの馬が出る、と

 音無:基本的には父のいいところを出してくれる感じなのかな。でも、それはスピードの下地があってのものだと思うんだよね。まあ、“絶対に大丈夫”とは言えないけど、“絶対に向かない”とも言えない。負けたことのない馬なんだから、条件が合わないと決めつけるのもおかしな話だしな。

 ――慣れている栗東ではなく、美浦で検疫してからの輸送を選択した

 音無:トランジットもあるし、かなり長い輸送だったからね。少しでも負担が軽減できるなら…ということで成田空港に近い美浦での検疫を選択した。それが良かったのかどうかはわからないけど、到着した後も順調な調教ができていると聞いている。

 ――同じくサウジCに出走するゴールドドリームが常に一緒

 音無:正直、ゴールドドリームが一緒に行ってくれなかったら、この遠征はちょっと厳しいかもしれないと思っていた。クリソベリルにとっては初めての海外遠征になるわけだし、坂路メインの調教をしている馬でもあるから、1頭でコーナーのあるコースを乗ることに不安を持っていたんだ。だからこそ、一緒に調教をできる馬がいるというのは大きい。僕自身も平田君(調教師)が一緒に行ってくれると気持ちが楽だしね(笑い)。

 ――最後に仕上がりと手応えを

 音無:常に2か月以上の休み明けで使ってきた馬だし、(出発前は)フェブラリーSに出走したサンライズノヴァと再三にわたって併せ馬もさせてきた。力は出し切れる仕上がりになっていると思うよ。ただ、大き過ぎるくらいに大きい馬。ひと叩きした状態で使ったらどうなるのかな…という気持ちを常に持っているのも事実なんだ。もちろん、今回の一戦も楽しみにしているけど、仮にいい競馬ができるようなら、次のドバイWC(3月28日)はこれまでと違う、さらに進化したクリソベリルが見られるかもしれないな。