【旭堂南鷹のビンボー講談師に明日はない】新連載“デビュー戦”万葉S 本命はタガノディアマンテ

2020年01月05日 19時00分

旭堂南鷹

【旭堂南鷹のビンボー講談師に明日はない】謹賀新年。僕は今年29年目のベテラン講談師である。東京の神田松之丞くんが登場し、講談に少し光が当たり始めたものの、大阪ではまだまだ日陰暮らし。「つ離れ」しない講談会も珍しくない。「つ離れ」とは一から一つ、二つと順に数を数える際、「十でつが離れる」ことを指す。早い話が、お客が10人に満たない講談会のこと。そんなありさまだから、前座も真打ちもギャラは定額1000円だったりする。こつこつ芸を磨き、長年やっても1000円。講談師を選んだ時点でビンボー人生を選択してしまっている。だから、普通なら馬券を買う余裕なんてない。ビールは発泡酒、酒はワンカップの人生。でも、誰が言ったか知らないが、「芸人はビンボーの華であれ」だ。毎日賭場に通い、毎夜酒場に入り浸る。そんな暮らしをするには馬券で稼ぐしかない。もちろん、明日がない中で競馬と向き合ってきた身として何十点、百何十点張りのお大尽馬券は買えない。ビンボー馬券の美徳は絞ること。読者の皆さんと目線を同じくして、「あいつよりはマシだ」と時には癒やしとなるような予想をしていきたい。

 デビュー戦は正月名物のマラソンレース・万葉S。本命はタガノディアマンテ。鮫島一歩調教師とは増本豊厩舎の助手時代からお世話になっている。GⅠ馬マサラッキをはじめ、著名馬の攻め専を担当されていたが、当時から強気な言葉を並べる人ではなかった。ただ、言葉の端々に本人の強い意志を感じる瞬間がある。調教師になってからの17年エリザベス女王杯モズカッチャン。そして今回も師の強い意志が感じられる鞍上の起用だ。脚をためさせれば当代一の日本人騎手、川田だ。鮫島厩舎とのコンビで昨年32鞍に騎乗し、9勝で勝率28・1%、馬券圏内は20回で実に6割超え。鮫島厩舎は川田が乗った時が買いなのだ。

 勝負師としては実に穏やかな人物だが、その分、冷静に大局を見る力に秀でている。外枠に泣いたクラシックでも接戦を演じた実力馬がオープン特別なら勝ち負け――。そう読み取れる勝負の川田起用だ。

 問題は相手だが、外国人騎手は黙って買う。フォーリー騎乗のアイスバブル。あとは先行してひと脚使えるミッキーバード、京都外回りの烏丸Sが強かったレノヴァール。大穴なら淀の長丁場の申し子ダンスインザダークの血を引くヤマカツライデン。

◎タガノディアマンテ
○アイスバブル
▲ミッキーバード
△レノヴァール
△ヤマカツライデン

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「旭堂南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門