ブラストワンピースで挑戦・大竹調教師を直撃「凱旋門賞で得たものは?」

2020年01月03日 16時00分

また挑戦したいと語る大竹調教師

 

 2019年秋、日本競馬の悲願である仏GI凱旋門賞に、管理馬ブラストワンピースを英ニューマーケットでの調教をステップにする国内初の試みでチャレンジした大竹正博調教師。結果は11着に敗れ、またもや世界の壁にはね返された形だが、そこで得たものを今後の戦略や厩舎経営にどう生かすのか。さらに“リベンジ”の意欲はあるのか? 日本競馬の現状と未来への社会的役割も含め、じっくりと話を聞いた。

 ――改めて凱旋門賞を振り返って

 大竹:残念な結果でした。普段(日本で)のルーティンと違う流れでずっと競馬まで調整して、その中で今までに見せたことのない部分がメンタルとフィジカルの両面でありましたね。ただ、良い悪いは別にして、今後にイレギュラーなことが起こった際に参考になる材料は得られたと思っています。それに普段は別々に仕事をしているノーザンファーム(注=ノーザンファーム生産のブラストワンピースは、美浦トレセン在厩時以外は主に福島のノーザンファーム天栄福島県で調整されている。凱旋門賞遠征には同牧場のスタッフも同行した)と今回一緒に行った中で得られたことも多くありました。

 ――具体的な敗因は

 大竹:敗因を挙げればいっぱいあるんですけど、“これ”っていう決定的なものはないんです。それに僕自身もずっと現地で調整を見ていたわけではありません。でもニューマーケットの環境は、馬にとっては普段のストレスが本当にかからないと思いましたね。

 ――再び海外への挑戦は

 大竹:ブラストワンピースに限らず、今回遠征をして、より海外に意識を向けなければいけないと思いましたね。馬のつくりとかに関し、見た目にもこんなに違うのかと驚きました。(勝った)ヴァルトガイストは僕個人としては決して良く見えなくて、逆に(2着)エネイブルはすごいな、威圧感があるなと感じました。今まで自分が経験した中のもの(=意識)が、いかに狭い世界の話なんだと痛感しました。ノーザンファームのスタッフと一緒に仕事をするスタンスもそうだし、今後につなげたいことはたくさんありました。

 ――ブラストワンピースは有馬記念を使わず、AJCCからの始動になりました

 大竹:元気はいいし、決して(有馬記念を)使えないレベルではなかったんです。ただ、(過去の)凱旋門賞を使った馬のその後の成績を見ると、厳しい数字が並んでしまっている。より慎重になる必要があると思いましたし、もし前回の競馬で自信を失いつつあるなら、ちょっとした不安も許されない。今後に尾を引きますからね。そこはノーザンファームとも話をして同じ見解でした。

 ――改めて凱旋門賞の難しさは

 大竹:フランスに限らず、ヨーロッパの人たちは考え方の違いというか、“(日本を含めた外国馬が)来たければどうぞ、うちはうちのスタイルですから”といったムードを感じました。勝つためのデータや技術はあって当たり前。もっとベースの部分でどういうふうにフランスの文化に立ち向かうか。だからこそ、またチャンスがあれば挑戦したいと思いましたね。

 ――2020年はどんな年に

 大竹:オリンピックが行われるのは結構イレギュラーなこと。京都開催も(4回京都で)最後だし、いろいろと変則的になりますが、その中でも積み重ねたものをいつものようにやっていればどうにか切り抜けられるかなと(笑い)。海外に挑戦したこともあって、どんなときでも馬の力を出せる準備をしておくのが大事だと思いました。それに外国の人も大勢来るから楽しんでもらいたいですし、競馬が一役買えればとも思っています。

 ――ブラストワンピースの半妹ホウオウピースフルも将来が楽しみ

 大竹:牝馬のオルフェーヴル産駒だけあって、カイバ食いは細いし、気持ちのコントロールがまだ難しいので注意しながら調整しています。気性の激しさは兄以上。一度スイッチが入るとすごい勢いでハミを取ったりします。それをこちらの求めるところで出せるようにいろいろやっていますが、まだ手の内に入ってこない。でも今は馬の気持ちに任せて、時間(の経過)が薬になるかなと考えています。幸い、いい内容で勝てて賞金も加算。次走で頂点(2歳GI)を目指すよりも、その先を考えてクイーンC(2月15日=東京芝1600メートル)を選択しました。東京のマイルは大丈夫。楽しみですよ。

☆プロフィル=おおたけ・まさひろ 1969年12月30日生まれ。東京都出身。調教助手を経て2008年調教師免許取得、翌年開業。13年優秀調教師賞(関東)、重賞勝ちはブラストワンピース(18年GI有馬記念など4勝)、ルージュバック(17年GIIオールカマーなど4勝)など計12勝。実父は元騎手の大崎昭一氏。血液型=O。