【アンカツの提言】海外挑戦もいい!でも、まずは国内で白黒つけろ!!

2020年01月02日 16時00分

安藤勝己元ジョッキー

 本紙で大好評連載中の「GIはアンカツに聞け!!」をご愛読いただいている方には、お分かりだろう。安藤勝己元ジョッキーは、常に「競馬ファンファースト」。どうすれば、ファンが競馬をより楽しめるのか。ファン目線で語り続ける。「使い分け」「海外遠征」が定番になりつつある中、最強馬を決する正真正銘のGIを、より多く実現するために必要なこととは!? アンカツの提言を聞け!!

 2019年の競馬もいろいろあったけど、俺的に印象深かったんは、やっぱり有馬記念やな。なにせ11頭ものGIホースが集う「超豪華メンバー」やったからね。

 えっ、アーモンドアイから大勝負して、痛い目に遭った? まあ、断然の1番人気馬が勝ったほうが、より多くの競馬ファンがハッピーになったのかもしれんけど、あの強かったアーモンドアイが9着惨敗を喫する。それもまた競馬の面白さや。何より、あの超豪華メンバーが集まったからこそ起きた衝撃やった。

 このところ、例の「使い分け」の影響で、強い馬同士の直接対決が激減しとるんは周知の通り。大レースにも本来、出るべき馬が出てこんかったりと、ファンからすれば「肩透かし」を食う形になるケースが多かった。そういうのって正直、つまらんで。

 そんな微妙なGIが多かった中、有馬記念はもともと、ある程度のメンバーが揃っとったところに、香港Cを熱発回避したアーモンドアイが急きょ参戦したのもあって、名実ともに「グランプリ」にふさわしいメンツが揃い、大いに盛り上がったわけや。それは数字にも表れとって、有馬記念の売り上げは前年比107・4%とアップしとった。

 まあ、レース当日の入場者数こそ、前年比でマイナスやったけど、あの日は天気が悪かったで、しゃあないところ。雨で客足が遠のくんは、競馬だけやなく、いろんなイベントで見られる現象やからね。それに最近はスマホやパソコンでも馬券が買えるで、競馬場に行かんでもええ環境が整っとるでな。

 要はライブ観戦の数は状況が悪くて減ることがあるにしても、レースの質が上がれば、確実に売り上げに跳ね返ってくるってことや。それは有馬に限った話やないで。好メンバーが揃いさえすれば、レースは必然的に盛り上がるもんなんや。

 振り返ってみれば、安田記念、天皇賞・秋もそうやったやろ? 安田記念はアーモンドアイVSダノンプレミアムって「中心軸」があったうえに、充実著しいインディチャンプの躍進もあって「上半期最大の注目レース」って評判やった。

 天皇賞・秋にしても、主役のアーモンドアイに対して、3歳世代最強と目されとったサートゥルナーリア、安田記念惨敗からの巻き返しを狙うダノンプレミアムによる「3強対決」の構図で大いに盛り上がったわけや。

 そういった最強候補の「激突」が実現するレースがめっきり減ってきとるんが現実。何度も言っとるように「使い分け」はもとより、海外遠征が常識になった昨今は、選択肢もかなり広がってきとるし…。結果、GIなのにメンツ的にスカスカになるケースが目につくようになり、盛り上がりを欠くようにもなるわけやな。

 話はホンマ、単純明快。強い馬同士が戦うべき舞台で戦いさえすれば、競馬は必然的に面白くなるもんなんや。メッチャ強い馬が2頭いれば、「どっちが強いんやろ?」と考えるのは当たり前のことやし、しかるべき大舞台で、その対決が見たいってのも至極自然な欲求やろ。

 強い馬やったら、直接対決を避けんで、キッチリ白黒つける――。それが競馬を盛り上げるための、一番の処方箋やと思うわ。海外が身近になった現状を踏まえれば、国内で決着をつけたうえで、そのカテゴリーの王者が海外を目指すって流れが理想やろね。

 なんといっても、競馬はファンあってのもの。2020年は、ファンが熱狂できるようなレースを一つでも多く実現してほしいもんやね。

☆プロフィル=あんどう・かつみ 1960年3月28日生まれ、59歳。愛知県一宮市出身。76年に公営・笠松でデビューし、トップジョッキーとして長らく君臨。2003年にJRAに移籍すると、08年まで連続100勝以上するなどリーディングの上位で活躍。JRA・GI勝利は04年ダービー(キングカメハメハ)、08年有馬記念(ダイワスカーレット)など22勝、07年にはGI・6勝を記録した。公営在籍時を含めてJRA通算1111勝。13年1月に引退し、競馬評論活動を展開中。