【ホープフルS】ブラックホール 小さな体から繰り出すパワフルな走りに大化けの予感

2019年12月27日 21時02分

人馬ともにカメラ目線。ブラックホール陣営の自信が伝わってくる

【ホープフルS(土曜=28日、中山芝内2000メートル)美浦トレセン発秘話】現2歳世代の新馬戦がスタートすると同時に、記者が注目してきたサリオスは朝日杯FSで見事V3を達成。一戦ごとに子供っぽさが抜け、まさに横綱相撲でのGI戴冠となった。今後の注目は日本ダービーを最大目標にクラシック路線を歩むのか、それとも皐月賞はともかく、NHKマイルCに着地点を置く路線に切り替えるのか。いずれにしろ、来春まで目が離せない存在だ。

 一方で例年なら朝日杯FSの勝利で当確となるJRA賞「最優秀2歳牡馬」のタイトルが、今年に限っては一筋縄ではいかないムードにある。それもコントレイルが東京スポーツ杯2歳Sで驚異的なレコードVを飾ったがため。仮にこの馬がホープフルSでサリオスと同じ無傷のV3を決めるようなら…。

 ちなみに昨年は朝日杯FSの覇者アドマイヤマーズの153票に対して、ホープフルSを制したサートゥルナーリアが30票差の123票を獲得。今年でまだGI昇格3年目ながら、ホープフルSは朝日杯を脅かすほどの存在になりつつある。

 さてコントレイル“1強”ムードすらある今年のメンバーだが、関東馬に目を向けるとオーソリティ(芙蓉S)、ブラックホール(札幌2歳S)、ワーケア(アイビーS)と、前走オープン勝ち馬が3頭スタンバイ。その中で唯一の重賞勝ち馬ながら、休養期間が一番長いからか、それとも新馬戦でオーソリティに敗れているためか、意外に評価が低い=馬券妙味が一番ありそうなブラックホールに注目した。

 実は札幌2歳S当時、函館で取材をしていた記者は予想を「無印」にした。それも気のある馬が多くて印が回らなかったとかではなく、いわゆる“自信のヌケ”。札幌の最終追い切りで芝6ハロン72・8―11・7秒という破格時計をマークしたのをVTRで見て、「間違いなくオーバーワーク」と確信したからだ。

 6ハロン72・8秒=1200メートル1分12秒8。実戦とそう大きくは変わらない数字である。実際、併走パートナーとしてブラックホールに1馬身先着したグレルグリーン(3歳1勝クラス)は、同週のレースで1番人気に支持されながらも14頭立て13着の惨敗を喫している。あながち記者の見立てが間違っていたわけではなかった。

 当時のことを担当する三尾助手に振り返ってもらうと、追い切りが予定より速くなったことを認めた上で、こう続けた。

「確かにへこたれるのが普通なんですけどね。午後の獣医の診断でダメージはないという話だったので。だから“これで掲示板にでも来るようだったら(将来)化けるかもしれない”なんて話をしていたんです。それが掲示板どころか勝ってしまって(苦笑)」

 せめて記者も札幌滞在だったなら、いろいろ確認もできたのだが…。そこは悔やんでも後の祭り。問題は今回の取捨だ。

 その札幌2歳S後はしっかり充電期間を取っての参戦。「来春を見据える意味でも、早くに賞金加算ができてローテーションはとても楽。成長を促しながら向かえますからね」と三尾助手の表情は明るい。

 コントレイルやワーケアなどは秋に2勝目を飾り、その延長線上にこのホープフルSがあったのに対し、最も早い段階で現実的な目標に据えていたのがブラックホール。久々の不利よりも、そのアドバンテージを上に取る手もある。

「馬体のバランスの良さと関節の柔らかさ」が最大の長所という、このブラックホール。前走時418キロと見た目はきゃしゃな馬体のどこにそんなパワーがあるのかと驚かされるほど、レースでのパフォーマンスは力強い。鞍上の石川いわく「道中は気がないような走りなんですけど、追えば追うほど伸びる感じ。小さいけど、スタミナがあって、バランスがいいんですよね」。

 関係者がその将来を高く買っている、登録馬中「最軽量の小兵」がどんな走りを見せてくれるのか。2019年のJRAラストデーが楽しみでならない。

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