【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】サートゥルナーリア ディープを破った2005年有馬記念のハーツクライと同じ10番…これは吉兆だ!

2019年12月20日 21時01分

天皇賞・秋で古馬と一戦交えたサートゥルナーリア(左から2頭目)

【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】有馬記念だ。これほど分かりやすいGIはない。激走する穴馬は、中山巧者と決まっている。今年ならレイデオロ、アルアインの同期クラシック馬が該当する。

 偉そうなことを書いたが、有馬記念は比較的得意のGIだ。とはいっても、マツリダゴッホやゴールドアクターのような中山巧者の勝った有馬を取ったわけではない。何なら中山不得手と言われていたハーツクライの2005年有馬が最大の的中で、最高の思い出だ。

 あの年も今年のアーモンドアイと同じく、絶対の存在がいた。言わずと知れたディープインパクト。いや、戦前の雰囲気としては、今年の比ではない。ディープが負けることを仮定してしゃべることすら許されない空気もあった。

 僕は橋口厩舎のファンで、その空気の中、アンチ・ディープを叫び、ハーツクライの勝利を信じていた。いや、結構確信はあった。ジャパンカップの時計が、2着に敗れたとはいえ、勝ったアルカセットと同タイムの2分22秒1。芝2400メートルにおいて、日本競馬史で日本馬の最速で駆けたのだ。そんな馬を、たとえディープとはいえ、3歳時に負かすのは難しいと思った。

 橋口先生も「東京なら勝つイメージが湧く」と能力で見劣るとは言わなかった。ただ、「中山では、まったく勝てるイメージが湧かない」と中山適性へは悲観的だった。だが、最後に「この秋はグッと良くなった。俺の知らないうちに、中山巧者になっていれば、話は別だ」と冗談交じりに付け加えた。

 そして、アンチ・ディープの僕に「ディープは買わないとダメだぞ。それは真の競馬ファンじゃない」と助言をしてくださり、中山巧者に化けたハーツクライ→ディープインパクトの馬券でひと儲けした。

 今年もアーモンドアイを買わないのは競馬ファンとして正しい行いではないだろう。しかし、勝つとは限らない。

 勝ち馬は、あの時とは少し理論に破綻を生むがサートゥルナーリアだ。3歳馬がアーモンドアイを負かすのは難しいが、有馬が古馬と初手合わせだったディープと違って、サートゥルは天皇賞・秋で、すでに古馬と一戦交えた。この経験が生きる。

「皐月賞の時から、有馬記念を勝つイメージが湧いた」と小滝助手の言葉を聞いた時、ハーツクライの時の橋口先生の言葉が頭に浮かんだ。両者の意味は違うが「イメージ」というワードに古い記憶が呼び覚まされた。

 そして枠番がハーツクライと同じ10番を得たのは、偶然とはいえ吉兆に思えてならない。

 来年は日本競馬の悲願を成し得るだけの可能性は秘めている馬だと確信している。そのためにも、アーモンドアイ撃墜は必須のアイテムだろう。

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「旭堂南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。