【有馬記念】令和元年のグランプリはまさに「ウィ・アー・ザ・ワールド」

2019年12月19日 21時32分

池添が状態の良さを感じているフィエールマン

【有馬記念(22日=日曜、中山芝内2500メートル)美浦トレセン発秘話】「ダービーと有馬は毎年乗せてもらいたいレースですからね。この馬を頼まれた瞬間はうれしくて、めっちゃテンションが上がりましたよ。さすがに、その後は“責任を果たさないと”と冷静に切り替えましたけど(笑い)」

 有馬記念4勝&宝塚記念2勝の“グランプリ男”池添謙一が興奮気味にこう語ったのは、今春の天皇賞馬フィエールマンと初コンタクトを取った1週前追い切り(12日)の直後だった。トーンに軽快さを増しているのは、背中越しに伝わる具合の良さからだろう。

「頭の低い走法でハミにモタれる印象でしたが、今日は頭の位置をキープして走れていた。状態はすごくいいし、とりあえず、1週前は文句ないです。マイルCS(インディチャンプ)の時も言いましたが、僕に課せられているのは“勝つこと”。それだけを考えて乗っていきたい」

 ムードはアーモンドアイ一色に染められそうな今年のグランプリ。それでも伏兵の立場にあるフィエールマンとて、本来は名手クリストフ・ルメールが勝負をかけるはずの馬だった。送り出す陣営にも高らかなプライドが確かにある。それを感じさせたのは、アエロリットを送り出す菊沢隆徳調教師も同様だった。

「うん、レースを引っ張っていきますよ。よほどのアクシデントがない限り。自然と、そうなると思います。最後の競馬も“この馬らしく”です」

 今回がラストランになるのは、同馬を含めてアルアイン、クロコスミア、シュヴァルグラン、レイデオロ、リスグラシューの6頭。それぞれが悔いのない競馬を誓うのみならず、今年のグランプリは、かつてないほど3歳、古馬の牡牝を含むJRA賞の大きな行方を握っている。アーモンドアイがいようがいまいが、早々に白旗を掲げる理由は誰にもあるまい。

 そう思ってメンバーを見渡した時…。思わず当方の頭によぎったのが「ウィ・アー・ザ・ワールド」のPVだった。マイケル・ジャクソンを旗頭に、アフリカの飢餓と貧困を救うため作られたキャンペーンソングだが、集結したのは“よくぞこれほど”と思わせる、時代をけん引する総勢45人のミュージシャン。圧巻のソロパートリレーおよびコーラスを披露する奇跡が、そこに生まれた。

 だから、おそらく今年の有馬も、きっとそうだろう。総勢11頭のGI馬だけではない。その鞍上も「ウィ・アー・ザ・ワールド」と叫ぶにふさわしい面々が彩る。3角からの攻防を想像するだけで、鳥肌が立つ思いに駆られるのは当方だけではあるまい。後々伝説と呼ばれるであろうこの一戦に、記者は感謝の念を込めて“寄付金”を送り、最後の直線は各馬の大合唱、そこに生まれる奇跡を堪能したいと思う。

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