【有馬記念】アーモンドアイは鉄板なのか?「熱発明け」「初の中山二五」「週末雨予報」を徹底検証

2019年12月17日 16時32分

15日に美浦トレセン南ウッドを軽快に駆け抜けたアーモンドアイ。1週前の時点で不安材料は何もない

【有馬記念(22日=日曜、中山芝内2500メートル)密着記者が現役最強馬に斬り込む】「史上最高のグランプリ」――そんな下馬評が支配的な第64回有馬記念が刻一刻と迫っている。GI馬11頭出走は過去最多で、その中でも断然の存在感を示すのはGI・6勝馬アーモンドアイだ。ただし、頂上決戦参戦までは紆余曲折…。果たして全く不安はないのか? 国枝厩舎担当で密着取材を続けている山村隆司記者が現役最強馬の“真相”に迫った。

 実績から押しも押されもせぬ不動の主役。その一挙手一投足に今週は大きな注目が集まろう。ただ、楽観が許されぬ状況にあるのも事実。香港カップからのスライド出走のみならず今回は初距離。加えて週末の天候は下り模様で、トリッキーな中山の舞台も初めてとなる。果たして絶対的主役は本当に絶対なのか? 多角的視点から今回の“鉄板度合い”を探ってみた。

 まず多くのファンが懸念する材料のひとつが、今回の臨戦過程だろう。当初予定したGI香港カップ(8日)を熱発で回避。そこからわずか2週後の参戦は、どうしても“病み上がり”イメージがつきまとう。だが、体調は一切問題なし――そう断言可能な材料が実は揃っている。

 同馬が回避を表明したのは11月30日。しかし、今月3日には馬場入りを開始し、続く5日はさっそく南ウッドで5ハロン74・6秒をマークした。むろん体調不安でなせる所業ではない。

「熱発といっても検温で38度6分。平熱が38度2分のアーモンドアイにすれば微熱で、回避の決断は飛行機輸送を控えればこそだった。もし日本で走るなら話題にしない程度だから、決して大きなトラブルではない」

 国枝調教師のこの言葉を証明するのが、南ウッドでの1週前追い切り(11日)だ。主戦ルメールを背に刻んだ5ハロン64・8秒は、圧勝した天皇賞・秋の1週前を2秒近く上回る数字。その当時「80%」と伝えた主戦の言葉が、今回「ノープロブレム」に変わったように、状態に関してはむしろ前走以上と考えていい。

 加えれば日曜(15日)も同馬は南ウッド5ハロン75・2秒、ラスト13・6秒(馬なり)を計時。「追った後も雰囲気、体つきはいい」と指揮官は至って満足げだ。

 もっとも不安材料は他にもある。未経験の中山内回り、芝2500メートルの舞台設定である。この問いに対してルメールが「レコードでジャパンCを楽に勝ったから絶対にスタミナはあります。中山も初めてですが、賢くてすごく乗りやすいので心配していません。ドバイも初めてでしたし、内回り(秋華賞)でもすごくいい脚を出せたので」と全幅の信頼を寄せる一方、陣営も次なる見解を示している。

「レース後に体に熱がこもることはあっても、息が乱れたことは一度もない馬。それは(昨年の)ジャパンCも一緒でした。その意味で直線で脚が上がるシーンは想像しにくい」

 担当の根岸助手のこの言葉を補足するように、国枝調教師は2007年の有馬記念優勝馬マツリダゴッホを例に“中山攻略法”を口にした。

「ゴッホは三分三厘から上がっていく脚質とコース形態がぴったり合致していた。まあ、その後の有馬でも内を回れていれば、もう一つくらい勝てたかもしれないね。実際、アーモンドアイのJCはゴッホと似たような立ち回りだったし、天皇賞ではインをこじ開ける走りも見せた。つまりグランプリ制覇の素養は十分あるということ」

 体調も舞台設定も不問とあれば、残る死角は当日の馬場、下り模様の天候(15日時点で降水確率70%)だが…。「騎乗した戸崎圭が泥んこになりながらも抜けてきたシンザン記念(稍重=1着)の走りを思えば、多少の馬場悪化は問わないはず」(同師)。確かにラスト2ハロン11秒7→11秒5の流れにあって、4角9番手から上がり最速で抜け出した直線は他馬が止まって見えたほどだった。

 結論を出そう。秋の天皇賞で3馬身差の圧勝を飾ってなお「まだ上がありそう」と指揮官が称したアーモンドアイ。18日の最終追い切りでそれを示すのは間違いないだろう。未知なる舞台、史上最上級のメンバー構成だからこそ、逆にこれまで以上の輝きをグランプリで放つ可能性は大、と断言したい。

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