【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】サリオスVSレッドベルジュール 朝日杯FSでの楽しみな東西無敗対決

2019年12月13日 21時01分

最内を鋭進して「デイリー杯2歳S」を快勝したレッドベルジュール(左)

【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】「今日は内からスルスル、タマモクロス」

 追い込み馬というと、大外をぶっ飛んでくるのが常道だ。目の前を疾走する馬の迫力に溜飲を下げるのが醍醐味の一つ。だが、1988年金杯のタマモクロスは、京都内回り(※当時は芝内2000メートル)の短い直線で馬群をぬいながら最内を突いて、ゴボウ抜きの追い込みを決めた。それは、まるでサーカスを見ているような驚きがあった。

 今年のデイリー杯2歳Sを勝ったレッドベルジュールの追い込みは、タマモクロスをほうふつとさせる。こちらは京都外回りのマイルとはいえ、直線入り口で2着のウイングレイテストに内へ寄せられながら最内を鋭進する姿は、あのときと似た興奮を覚えた。

 東スポで仕事をいただいている身としては書きづらいが、東京スポーツ杯2歳Sよりデイリー杯2歳Sのほうが好きだ。もちろん東西の違いもあるが、大好きなヤマニングローバルが勝ったレースというのが強く影響している。その後も橋口弘次郎厩舎とゆかりの深い血族馬たちが勝利を重ね、僕にとっては思い出の多い2歳重賞だ。

 近年は東スポ杯の方がクラシックに直結しているのは間違いないが、そうした郷愁もデイリー杯の勝ち馬についつい肩入れしてしまう理由の一つ。勝ち馬からGI馬は散見できるが、クラシック優勝馬となると12年前のキャプテントゥーレまでさかのぼる。

 だが、今年のレッドベルジュールはその勝ち方のみならず、父がディープインパクトで血統背景も文句なし。デイリー杯勝ち馬から久しぶりのクラシック勝ち馬誕生。その期待をかけられる素質馬だ。

 前走のサウジアラビアRCで鮮烈な勝ち方をした関東馬サリオスとの対決は、来年を占う意味で重要な一戦となる。東西無敗馬の直接対決は、数字の比較だけならサリオス有利が明らか。しかし、ベルジュールの前走の勝ち方にはまだ余力を感じる。

 荻野助手も「もっと前進気勢が出てくれば、競馬の組み立て方も変わってくる」と伸びシロを口にしていた。

 前走からの上積みという点では、レコードの反動を心配せざるを得ないサリオスよりもベルジュールのほうが上回っているように思う。東西無敗馬対決。楽しみだ。

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「旭堂南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。