【チャンピオンズC・後記】新砂王「クリソベリル時代」到来 川田「もっと強くなる馬だと思います」

2019年12月02日 21時32分

先輩GI馬の間を割って見事にチャンピオンズCを制したクリソベリル(中)

 1日、中京競馬場で行われたダートの頂上決戦・GI第20回チャンピオンズカップ(1800メートル)を制したのは超新星クリソベリル(牡3・音無)。無傷の6連勝での戴冠は、底知れぬ強さとスケールの大きさを示すに十分な内容だった。まさに新時代の到来。興奮冷めやらぬレース後の検量室取材から、同馬の今後の可能性を探る。

 デビューから無傷の5連勝で中央のGIに初参戦。その勢いで旧勢力も一気に制圧してしまうのか? 戦前から3歳馬クリソベリルの“真価”を問う一戦とも思われた今年のチャンピオンズC。期待値込みで1番人気の見立てもあったが、実際は一昨年の覇者ゴールドドリームに1番人気を譲り、2番手評価。裏付けのない持ち時計、恵まれた相手関係などがその理由で、音無調教師でさえも「みなさんが不安点ばかり挙げるもんだから、こちらも大丈夫かなと不安になっていたんだ」と苦笑交じりに振り返る。

 では実際、レースを同師はどのように感じたのか。「見た目にはね、今日は負けたかと思ったんですよ。というのもこれまでは早めに外へ出して長く脚を使うことで勝ってきた馬。それが内でレースを進めて追い出すのも遅くなった。直線で3頭並んだところを真ん中から抜け出して、こんな競馬もできるんだと改めて感心したんですよ」

 想定外の競馬で、さらなる進化を遂げた末のGI制覇だった。

 武豊=インティの絶妙のペースでの逃げ。その直後につける絶好位で盤石なレース運びかと思われたが、マイペースで逃げたGI馬の脚色はなかなか鈍らず、外からは早めに仕掛けるルメール=ゴールドドリームの強襲。真の実力がなければ、まさに大ピンチの直線3頭の追い比べだった。

「両サイドが強い馬でなかなか前へ出られませんでしたが、そこを抜け出したことで改めてこの馬の強さを感じました。成長しながらここまできてくれたし、もっと強くなる馬だと思います」と安堵の表情とともに自信を深めた川田。その騎乗ぶりについて音無調教師は「これまで最も多くコンビを組んできたジョッキーですから、砂をかぶってモマれても大丈夫だと分かっていたんでしょう。堂々とした騎乗でした」と絶賛した。

 55キロの斤量、枠順の並びの良さに恵まれた部分もあっただろうが、勝ち時計1分48秒5の好タイムに加えて、シ烈な叩き合いでGI王者たちを打ち負かしたレースぶりは“クリソベリル時代到来”の幕開けを告げるものとも言える。

「今後に関しては年末の東京大賞典は使わないことと、馬体のチェックを済ませてから放牧に出すことは決まっています。来年がどうなるかはオーナーサイドと協議のうえ、近いうちに答えを出したい」。音無調教師はこう前置きしながらも「翌年のフェブラリーS(2月23日=東京ダート1600メートル)は距離が短いから、春は海外遠征も視野に入れることになるでしょう」。

 早ければ3月のドバイ遠征も視野に入る。底知れぬ強さを秘めた新王者の名声が国内にとどまらず、世界にまで広がるのはそう遠い日ではない。