【ジャパンカップ・後記】マーフィーの度胸満点騎乗でスワーヴリチャードV「外国馬ゼロ」国際競走の未来予想図

2019年11月25日 21時34分

マーフィー騎乗スワーヴリチャード(右)は大胆な最内強襲でカレンブーケドール(中)、ワグネリアン

 24日、東京競馬場で行われた第39回ジャパンカップ(東京芝2400メートル)は、オイシン・マーフィー騎乗の3番人気スワーヴリチャード(牡5・庄野)が最内強襲で大阪杯に続くGI2勝目をマーク。アーモンドアイに屈した昨年3着の雪辱を果たした。8年ぶりに来日したランフランコ・デットーリを筆頭に外国人ジョッキーが競馬を盛り上げたが、出走馬の国際化は遠のくばかり。ジャパンCの未来は果たしてどうなっていくのか…。

 39回の歴史にして初めて外国馬が不在となった今年のジャパンC。昨年最先着(3着)したスワーヴリチャードが制したことで改めて日本馬のレベルの高さを証明した一方で、マーフィーの日本人騎手にはない“規格外のアプローチ”が勝利を引き寄せた格好だ。

「GIに臨むには2つ3つの計画がある。枠順を見渡して有力馬が内枠にいること。今日のようなタフな馬場ではムダな動きをなくし、直線までエネルギーを温存すること」(マーフィー)。最後に決断したのがカレンブーケドールを徹底マークすること。各馬が殺到する1コーナーでポジションを確保すると、道中はライバルを射程に入れて我慢する完璧な立ち回り。そして迎えた直線での判断が明暗を分ける。

 逃げるダイワキャグニーを前に外を並走するカレンブーケドール。金曜(22日)から降り続いた雨で不良に近い重馬場はこの日、内から伸びあぐねるシーンが目立った。このピンチともいえる状況でも鞍上はスワーヴリチャードを荒れた内ラチ沿いへ導いた。

「普段乗っているヨーロッパに比べれば、まだ芝は硬かった。本当の重馬場はアスコットの英チャンピオンSのような馬場。それまでのレースでいい時計が出ていたからロスの少ない進路を取った」とマーフィー。若くして世界を巡り、自らの経験から生まれた迷いなき判断。レース後に「日本馬は硬い馬場が得意だからスワーヴリチャードに合うか、クエスチョンは残ったけどね」とニヤリ。勝利への自信と感覚、それを最優先した度胸満点のワールドクラスの手綱さばきだった。今年の英リーディングジョッキー。「マーフィー騎乗でなければ…」と思ったファンは少なくないだろう。

 庄野調教師は「昨年より今年のほうが自信はあったが、1コーナーの狭いところで一歩も引かず勝つためのポジションを取ってくれた。直線は勇気を持って抜け出してくれた」と24歳の若武者への賛辞を忘れなかった。

 1着3億円の高額賞金を誇りながら、世界から完全に素通りされてしまったジャパンC。レース日程など物理的な面だけが要因とは考えにくく、仮にアーモンドアイが出走しても外国馬は不在だった。

「2分20秒6」。クラシックディスタンスとは思えない昨年の走破タイムが外国馬の遠征を遠ざけた。週の半ばに戻るが、1番人気のレイデオロに騎乗したビュイックはこんな話をしていた。「日本の馬はもちろん、日本の馬場にフィットしている。そのフィーリングは分かっているから、僕が騎乗スタイルを変える必要はないんだ」

 異国の地で勝つ難しさ――。この日、マーフィーを筆頭に短期免許で集結した5人は、いずれも今シーズンを代表する名馬の背中で結果を出してきたスーパースター集団。彼らがジャパンCの魅力と日本競馬をリスペクトすることが、母国に戻って日本で勝てる外国馬を呼び込む。人と馬のそんな結びつきもあるはずだ。日本馬が高い壁の海外レース制覇を目指すように、ジャパンCの意義はここにもある。