【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】ジャパンカップ出走シュヴァルグラン 7歳になってもメンタル面で成長「レースに行くまでの不安がなくなった」

2019年11月22日 21時01分

ハーツクライの血を引くシュヴァルグラン

【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】外国馬のいないジャパンC。「何じゃそりゃ」「寂しい」と複雑な思いがある。だが、日本馬が凱旋門賞をなかなか勝てないように、今やジャパンCも外国馬にとって勝つのが難しいレースとなった。世界が最も恐れる“世界最恐のレース”なのだ。ま、そう思って今年の寂しいジャパンCのメンバーを見渡し、日本競馬ファンとしての寂しさを癒やしている。

 近年、ジャパンCといえばハーツクライ産駒の健闘が目立つ。ハーツクライ自身もアルカセットの2着に敗れたとはいえ、2分22秒1という当時としては世界レコード級の時計で走っている。東京が得意なのは母系に内在されたトニービンの血から受け継がれ、それはハーツの子たちにも遺伝されている。

 今年もハーツクライの血を引くスワーヴリチャード、シュヴァルグラン、タイセイトレイルの3頭が出走。ハーツクライファンとしては肩入れしたくなる。注目はスワーヴリチャードだろうけど、昨秋以降はぶっちゃけ庄野調教師の歯切れが良くない。それなりに走ってはいるが能力的には当然で、勝てないのは、やはり何かしら物足りないところがあるのだろう。一時よりは庄野先生の言葉にも前向きさを感じるが、本当に良いときと比べると飛びつきづらい。

 期待はシュヴァルグラン。外国馬不在とはいえ、英国の大レースを転戦してきたこの馬がいる。馬屋から出てきたシュヴァルグランは、陽光に照らされて金色に光っていた。栗毛に太く真一文字に伸びる流星は見栄えが良く、馬体も数字以上に肉感を感じさせる。そして、何より若々しい。貫禄だけではなく、またどこかにとがった部分も感じさせる。

「立ち居振る舞いに落ち着きが出ました」

 友道厩舎の大江助手は言った。7歳になっても馬のメンタルは成長するのだ。とはいえ、それが競馬につながるものなのか。

「レースでというより、レースに行くまでの不安がなくなりますよね」

 このクラスの馬たちの戦いは紙一重。レースでの不安はどの馬にも付き物だが、その過程に不安がないことは大きな利点となる。道悪は得手ではないが、欧州の道悪を経験してきた今なら軽々と走りきっても不思議はない。

 外国馬不在のジャパンCだが、世界を見た古豪シュヴァルグランの経験を買う。

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「旭堂南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。