【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】マイルCS矢作厩舎モズアスコット デットーリ騎乗予定から和田へ「僕的には鞍上強化だ」

2019年11月15日 21時01分

前走で結果の出たモズアスコット

【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】「角居厩舎ばかりじゃなくて、矢作厩舎のことも書けよ」

 こんなことを言ってくれる調教師はなかなかいない。矢作先生とはトレセンに通い始めた21歳くらいからのお付き合い。大人の事情で僕が一方的に不義理になったことがありながらも、大井の調教師であったご尊父・矢作和人さんの引退パーティーで競馬講談の場を設けてくれるような親分肌の人だ。

 出会ったころは菅谷厩舎の調教助手。岩手競馬から転厩してきたイワテニシキに対する熱い気持ちをよく聞かせてもらった。マル地という目で見てしまうせいか、シルエットには多少のやぼったさがあった。黒鹿毛の力感ある馬でいかにも「野武士」といった風情の馬だ。

 矢作さんの期待はもっと上を見ていたが、それでもダートでオープンまで出世。イワテニシキや厩舎開業時の屋台骨だったスーパーホーネットのように、反骨心にあふれた背景を持つ馬が矢作さんにはよく似合うと勝手に思っている。だから、ディープインパクトやハーツクライ、フランケルといった名血ではない、今の時代に逆行するような活躍馬を出してもらいたいとも個人的には思う。

 マイルCSのモズアスコットはフランケル産駒。ただ、大阪人としては冠のモズ(百舌鳥)に親近感が湧くせいか、フランケルの洗練された印象は薄い。僕的にはイワテニシキのころの矢作さんらしさを覚える。馬名が都市名という共通点も、よりそう思わせてくれるのかもしれない。

 モズは昨年の香港挑戦あたりから、返し馬での凶暴さが「トラウマになるレベル」だと玉井助手は言う。その気性を心配する声が聞かれた時期もあったが、前走で結果が出たことが自信になったよう。今回の玉井助手の言葉は実に歯切れが良かった。

 デットーリが乗ると言われていただけに、来日延期となったことは残念。ただ、世界中の競馬ファンから総スカンを食らおうが、僕的には和田竜二への乗り替わりは鞍上強化だ。

 判官びいきの旗手的な印象のある矢作先生に、フランケル産駒とデットーリは似合わない。和田竜二のような、日本人好みの泥くささが加わったのはうれしい限り。マイル王の復権はドラマになる。

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。